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名前のない盗賊(北山)



「愛が欲しい。」
「…は?」
「愛が欲しいの」


一瞬脳内にストップがかかった。愛が欲しい、って今更何を言うか。あんなにたっぷり愛を捧げているのにも関わらず、まだ欲しがるなんてどんなに伝わってないんだ俺


「なんてゆうかさ北山の愛は胡散臭い」
「………」
「もっとこう情熱的なさあ」


酔っ払っているのかいつもなら言わないような言葉を並べる名前に、なんかがキレる音がして気付けばベッドの上に押し倒していた。胡散臭い?上等、本気だってわかるまでたっぷり愛してやる。下で苦笑いを浮かべて逃げようとする名前の顎を掴んで、唇を重ねた。少し開いた隙を狙って、舌を侵入させるとピクリと名前の体が強張る。絶対止めない、俺も酔っ払ってんのな。ほのかに香るお酒の匂い、スルリと服の間から手を侵入させると抵抗されたけれど、そんなの効かない。胡散臭い、なんて言ったこと後悔させてやる。角度を変えようとしたとき、名前の膝が立てられて当たってはいけない場所にゴチンと当たった。


「───────っ!」
「…あ、ごめ」
「てっめ…!」


ジョニーを思いっきり強打した俺は悶絶。本当に悪いと思ってるのか思ってないのか、男の子はソコ(ジョニー)を蹴られると物凄く痛いんですが。再起不能になんじゃねーの、ジョニー。そしたら子供作れねーな、子供欲しかったのにな。家族でサッカー出来るくらい。ドサッと隣に倒れ込むと、背中にズシッと重みを感じた。多分、名前の頭


「大丈夫?ピー(ジョニー)は」
「女がそんな言葉使うんじゃねえ!」
「なに慌ててんのよ」
「……酔っ払いが」
「あ─何ソレ何ソレ!彼女に向かってさ!」
「彼氏の愛感じねーで何が彼女だ」
「……拗ねてんの?」
「ほんっとお前むかつくな」

「北山ちゅ─しよ─?」
「………あ?」
「ちゅー!」
「まじで酔っ払いかお前」



名前のない盗賊
本当はね、いつでもずっと北山の愛は感じてるんだ


 



T.確かに恋だった様

 


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