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けいさま/中学時代

そう、あれはまだあたしたちが中学生のときだった…。

「あー!ぎゃあああ!落ちた!うわあ、またビリだ…」
「ししし、ほんとなまえはマリカー弱いな」
「よし、じゃあ次はぷよぷよで勝負じゃ」
「負けたら罰ゲームなっ」

今日はルフィの家で「たった2人だけど気合いいれて頑張るぞ!ゲーム大会」を開催中。いつも一緒にいるゾロたちはあいにく、家の用事や部活などで不参加だ。

「ぎゃあああ!ちょ、ちょっと待って!いやぁあああ!」
「見たか!恐怖の8連鎖!」
「ありえない…」

テレビの画面には8連鎖した上にぷよぷよたちを全消ししたルフィ(もはや神!)、画面いっぱいにお邪魔ぷよがぎっしりのあたしの悲惨な場面が映し出されていた。

「なんで、ルフィそんなに強いの!?ゲーマーかっ!?ゲームマニアか!?」
「ししし、いつもエースと勝負してるからなっ」

エースって誰だ?と一瞬頭をよぎったが、その後ルフィがつぶやいた衝撃的なひとことにあたしの意識はすべて奪われた。

「でもエースに一度も勝ったことがねえんだ」
「えぇええ!?ルフィが勝ったことがないとか…その人バケモノか?いや、もののけ姫か?!」
「いや、もののけ姫じゃねえ!エースはおれの兄ちゃんだ」

(ああ…この兄弟はモロに育てられたんだ!山犬にもなれず、人間にもなれず…ゲームマニアになるしかなかったのね!)うんうんとひとり頷いていると、わけがわかんねえという顔したルフィがパッとなにか思いついたように笑顔になった。

「おい、なまえ!罰ゲームだ!」
「えっ!?まじで?!」
「だっておめえ、おれにぷよぷよ勝てなかっただろ」
「うっ…わかりました!罰ゲームってなに?」

いやいや、おっけーするといつもの無邪気な笑顔でルフィは言った(うわあ、イヤな予感がする)

「よし、ものまね30連発だ」
「はあ!?いくらあたしでも持ちネタが30個もあるわけないじゃん!」
「いやだったら、明日からおれの宿題もやってくれ」

く、くそ…自分の分でも宿題仕上げるの大変なのに!こうなったら仕方ない!(女は度胸だ)

「なまえ、ものまね30連発いっきまーす!」
「おっ、いーぞ!」
「まずは…」

身内ネタのウソップの家の近所のおじさんから始まり、メジャーなミッキーマウス、えっ?わけわかんねーよ!なウーパールーパーなどのものまねをルフィのリクエストにより披露した…正直やけくそだった。

「ハァハァ…ちょっと休憩!なにか飲み物をください!」
「冷蔵庫にあるから勝手に飲んでこいよ」
「あっ、はい」

他人様の冷蔵庫を開けるなんて気がひけるが、この喉の渇きには耐えられない…あたしは1階におり冷蔵庫の中からジュースを拝借した(果汁4%でもうまい)

「あれー?この部屋は…ルフィの兄ちゃんのか?」

2階にあがり、ルフィの部屋に戻る途中…山犬に育てられた兄ちゃんの部屋に少し興味を持ったあたしは、ルフィの兄ちゃんの部屋らしき部屋を覗こうとしたときだった。

「なまえ!さっさと続きやれよ、あと18個ものまね残ってるぞ!」
「えっ!う、うん!」

うわあ、びっくりした!やっぱり覗きなんていけない!あたしはルフィの部屋に戻り、気合いだけで残りのものまねをやり遂げた。









「ねえ、ナミ…」
「なによ?」
「どうしてあの時エース先輩の部屋を覗かなかったんだろう!あたしのバカ!」
「いきなり何よ!?」
「ドラえもーん!!!」

自習時間、得意げにナミにウーパールーパーのものまねを披露したあたしは、あの時のことを思い出し、なぜもっとはやくエース先輩の存在に気づかなかったのか、なぜもっとエース先輩に興味を持たなかったのか…ひとり悲しみに暮れたのだった。

タイムマシーンであの時へ戻して!

「そしたら、エース先輩の枕の匂いを嗅いで、ベットでゴロゴロして、脱ぎ放しにしてあるスウェットとか着ちゃったりできたのに!」
「あんたそれ変態行為よ」





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