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スペースマウンテンなみに揺れる




「トシオォオ!いい子に待ってるんだよ!」

ぎゅっとトシオに熱いハグをかわして、あたしは留守の間めんどうをみてもらうジーナ姉さんにトシオを託した(ああ、一緒に連れて行きたかったな)

「なまえ、ムチャはするなよい」
「もうマルコ隊長は心配性なんだから!」
「寂しくなったらこれでも見て元気だせよ」
「ジョズ隊長…あ、ありがとうございます」

受け取ったのはジョズ隊長の写真集だった(正直いらない)あたしはそれをこっそりエースの荷物の中に入れておいた。そして船の準備も無事におわり、一通りみんなと別れのあいさつを済ましたあたしとエースはそれに乗り込んだ(うひょひょ!わくわくする)

「じゃあ、いってくる」
「みんな寂しくなったらあの空をみて!あたしもあの空と繋がってるから!」

コイツうぜえー!とかぜったい思ってるマルコ隊長の冷たい視線が気になるが、ほんとは心配してくれてるのがわかるから今回は許してあげよう(あたしって大人だな)
そして、あたしたちの船は偉大なる海を走り出したのだった!


「おお、はやい!はやい!エースもっとはやく!」
「あんまりはしゃぐと海に落ちるぞ」

エースの出す炎によって動くこの船はほんとうは1人乗りらしいが、あたしも一緒に行くということで2人乗りに改造された。多少せまいが我慢できるし何より風を感じることができるのであたし的にパーフェクト!

「ねえ、最初はどこの島に行くの!?」
「とりあえずログポースが指す方向に向かうしかねえな」
「そっか…どんな島なんだろ!楽しみ」

ふふふんと鼻歌を歌いながら海を眺めていると波を超えるたび水しぶきが太陽の光でキラキラしててすごい綺麗!でもちょっと気持ち悪い…えっ、気持ち悪い?

「ちょっ、えええーすぅ!気持ち悪い!」
「はあ?」
「吐く!吐く吐く吐く!」
「ば、ばか!?やめろ!吐くなら海に吐け」

必死に口元を抑え船の後ろのほうへ行き下を向けば、恐ろしいほどスムーズにあたしは今日食べたものを、すべてリバースした。

「はあ、いいことした!あたしの嘔吐物が魚たちのエサとなり、そしてその魚たちをまたあたしたちが食べる…うん、自然って偉大だな…あれ?そしたらあたし自分の嘔吐物をまた食べることになる?おえっ」
「あほか……」

あきれるエースをスルーし、船の端で横になり少し気分を落ち着かせる。それにしても気持ち悪い、船酔いした(小さい船って揺れるなあ)でもなんか楽しいな!でもやっぱり気持ち悪いや!

「おい、なまえ大丈夫か?」
「気持ち悪いから少し寝るね」
「ああ、そのほうがいい」

バサッとあたしにパーカーをかけて隣に座り、髪を撫でてくれるエース。エースも服とか持ってたんだとか言いたかったけど船酔いには勝てず仕方なく、あたしは静かに目を閉じた。

優しく髪を撫でてくれる暖かい手と頬にあたる風が心地よくて、最悪な船出だけど…なぜかいい夢みれるような気がした。




あきゅろす。
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