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アンビリーバボー!!!




「あーーーあーーーあー」
「うーーうーえーーうー」
「黙れよい」

怪談がはじまってすぐ、耳を押さえ話が聞こえないように、唸っていたあたしとエースは案の定マルコ隊長に殴られた(くそ、パイナップルめ)仕方なくエースの手を握れば、チッ…しょうがねーなとか格好つけながら握り返すエース(自分だって怖いくせに!)

「そこで、パッと振り返ると女は消えてたんだ…かわりに血だらけの女の服だけが…」
「「ぎゃああああああ!」」
「うっせー」
「ぎゃはっはっ、こいつらいると盛り上がるな」

抱きつきながら叫ぶあたしたちをみんなは面白がっているが、こっちはそれどころじゃない!みんな怖くないわけ!?もう部屋に帰りたいよ…(おかあさーん!)

「じゃあ次はジョズだよい」
「ああ、あれは月のきれいな夜だった…おれはある酒場で1人で飲んでいたんだ。すると、女が一緒に飲まねえかって誘ってきたんだ…そいつは金髪で紅い唇がやけに色っぽい不思議な雰囲気の女だった」

うわあ、怖い怖い!絶対そいつ幽霊だ!きっと彼氏にバラバラに殺されて、見つからない左手の小指とか探してるんだよ!危ないよ、ジョズ隊長!

「所詮おれも男だ…しばらく一緒に飲んでから、ついその女の泊まるホテルへ行っちまったんだ、おれも若かったぜ」
「ヒュー、この女泣かせめっ」
「ヤッたのか?」

(いやいや、なに普通のノリで話してるの!?これ怪談だよ!だから、その女が幽霊だったんだって!)あたしの気持ちを察したのか、エースに強く手を握られる…ぶっちゃけ痛くて折れそう(ギシギシいってるし)

「それで、女はシャワーを浴びにいったんだ…だが、シャワーに行く前に絶対に覗かないでと言われた。そんなこと言われたら覗かずにはいられないのが男だ…おれは初めは我慢してたが、しばらくして浴室を覗いてしまったんだ、するとそこには………」
「「ごくり」」

みんなが一斉に唾をのむ音が聞こえるくらい、真剣にジョズ隊長の話に耳を傾けている。もうあたしはまじで気絶する5秒前(MK5だよ)そして、深い深呼吸をしたあとジョズ隊長はつぶやいた。


「そこには、女ではなく…










男がシャワーを浴びていたんだ(どーん)」

「はっ!?男?」
「いやいや、意味がわかんねー」
「女は死んだのか?」

口々にジョズ隊長に意見する船員たちに…だまれと一言いうとジョズ隊長はくやしそうに叫びだした。
「だから、女だと思ってたらそいつはオカマだったんだよ!あやうく、おれは男とにゃんにゃんしたかもしれないんだぜ…あれはおれの人生の恐怖体験ベスト3に入る」

フッと息をふきかけ、ろうそくの火を消すジョズ隊長だが、思いがけない結末にあたしとエースは拍子抜けしてしまい、しばらく放心状態だった(まあ、ある意味恐怖だったけど)
結局、そのあとみんなも自分の恐怖体験を語るが、どれも笑い話だった…ズボンのチャック全開でナンパして恥をかいたとか、洗顔料と歯磨き粉をまちがえて歯を磨いたとか(ほんとにただの暴露大会になっていた)

「エース、もう部屋に帰ろうよ」
「そうだな」
「おれも帰るよい」

呆れたあたしたち3人は食堂を出て、部屋へとむかう。

「結局、こわいのは最初だけだったね」
「ジョズから崩れたな」
「次からあいつは誘わねえよい」
「あたしのことも誘わないでください」
「いや、おまえとエースいたら面白いから却下だよい」

チッ、聞こえないように舌打ちしたつもりだったのに、マルコ隊長に生意気だと殴られた(地獄耳!)すると廊下になにか倒れているのが見える…(ん?あれは)

「えェええ!?これさっき海に落ちた雪男人形!」
「なんでここにいるんだよい?」
「まさか、自力で?」
「………」
「ぎゃあああ!黄泉の国から戦士たちが帰ってきたあ!死ぬぅうう」

泣き叫びながら、エースに抱きつくなまえに、すみません!すみません!もう二度と海に落としたりしないので、どうかお許しを!と涙目で祈りはじめたエース(いや、滑稽だ)すると、おれんとこの隊員がやってきて、報告してきた。

「マルコ隊長、溺れている人間と思って助けたら人形でした!我ながらかわいい勘違いです、ははは…それにしてもどうしたんですか?エース隊長となまえさんは?」
「ああ、勝手にやらせとけ…行くぞい」
「は、はい!」

まだパニック状態の2人を残し、おれは部屋へと戻った(ほんとにあいつら面白いよい)後日、真実を知ったなまえとエースから頭にリボンをつけた雪男人形をプレゼントされたが、ジョズの部屋の前に放置してやった(喜んでいたから良しとしよう)



あきゅろす。
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