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やっぱり祭りの締めは花火!




いろんな屋台が並んでて目移りばかりするけど、あたしたちはひとつの屋台の前でただいま奮闘中…。

「うわあー、エースきもい」
「ははっ妬むなよ」
「よし!おっさん、あたしもやります」
「嬢ちゃん、彼氏に負けるなよ」
「か、彼氏じゃないです…ボディーガードっす、ねえ?ジョン」

だれがジョンだよ!とエースに頭を叩かれたが、あたしは目の前にある風船たちとにらめっこ中。いま手元には5本のダーツの矢…エースは4つ風船を割った。あたしがエースに勝つためにはパーフェクトを目指さなければいけない!そして、商品の「これさえあれば君も海賊セット」がぜひ欲しい(もう海賊じゃんってエースの呟きが聞こえた)

「よっしゃあ、行くぞ!それ」

バンッ

「うりゃあ!おりゃあ!やっほお!」

バンッ バンッ バンッ

「おお!嬢ちゃんすげーな、4つ連続で割ったぞ」
「次で海賊セットがもらえる…ふう、いくぞ」

深呼吸をして神様に祈りあたしは精神を集中させた。となりではあたしに負けたくないエースが商品のでっかい雪男の人形を抱きしめながら外せと祈ってる(あとで、覚えてろ)

「おらっ!いっけェえええ!!」
「「あっ…」」

思いっきり力を入れて投げたダーツの矢が見事に刺さった……
屋台のおっさんのツルピカのおでこに(うわあーコントロールミス☆)

「痛ァあああああっ!テメェ、この貧乳娘が!」
「すいませんって…なんであたしが貧乳って知ってるんだよぉお!?」
「おい、騒ぎを起こすな!逃げるぞ」
「ちょっ、待って」

あたしの腕をつかみ走り出すエース。あいつの肩にかついでいる雪男人形の腕があたしの顔にバシバシ当たって痛い、しかも下駄なので非常に走りづらい!

「はぁ、はぁ…、まいたな」
「ちょっとヤバい!もう走れない…しかも雪男、痛いし」
「あっ…わりぃ」
「でもショックだな…あとひとつで海賊セットが…」
「まあ、そんなに気を落とすな!こいつやるから!」
「あ、ありがとう」

エースに雪男人形を押し付けられた、正直いらないけどここは素直に受けとっておいた。

「よし、気を取り直してなにか食べようぜ!おれは腹がへった」
「me too!あっ、たこ焼き!やきそばもある!わたあめもいいな」
「まあ、とりあえず全部食うぞ」
「イエッサー」

それからエースといろんなものを食べて食べて食べまくった。最後らへんはお金が足りなくて人生初の食い逃げというものをしてしまった…ああ、お母さんごめんなさい(でもエースは手慣れていた、)

「そろそろ、帰るか」
「えぇええ!?花火は!?祭りといったら花火でしょ!お前はそれでも男か!?」
「うっせー、でも出航の時間だ」
「でもでもでもでも…雪男も見たいって言ってるよ?」

浴衣マジック発動だ…こいつのダダをこねる姿までかわいくみえてしまう(はあ、重症だな)

「わかったよ、花火見たらすぐ帰るぞ」
「やったー!エースありがとう!」

雪男とくるくる回りながら喜ぶなまえ、雪男の足が顔に当たるからやめてくれ(案外、痛てぇし)なるべく、船に近くて、人があまりいないところへ移動し花火を待つおれたち。するとドーン、ドーンと色とりどりの花火が夜空に広がった。

「うわあー、きれい…」
「そうだな」

ふとなまえを見て、おれは今日ずっと言いたかったことを呟く(どうせ、花火の音で聞こえないもんな)

「浴衣、似合ってるぜ…」
「………」

やっぱり聞こえなかったらしい、花火に夢中のなまえ、でもあいつの顔が赤くなってる気がする(いや、気のせいだな…)しばらくして、ラストの花火がドーンと大きく夜空に咲き誇った。

「帰るか」
「うん…」

なんか花火を見終わった後って切なくなるよね、そんなことを思いながら前を歩くエースの浴衣の裾を掴めば、はぐれるんじゃねーぞと手を握ってくれた。(掴むなよとかいって殴られるかと思ったのに)さりげないその優しさや、いつもとちがう浴衣姿のエースにあたしの胸の鼓動は高鳴っていた。(また一緒に祭りに来れたらいいな)





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