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宝箱にはご注意を




けっきょく、あたしも盗み食いしていたことがバレて食事の後片付けや甲板の掃除などをエースと一緒にさせられていた。しばらくは、あんな男と話す気もしなかったが、ふと海を見れば、なにかがプカプカ浮いていて、ついいつものように話しかけてしまった。

「あれれっ?あれ何だろう?」
「ん?おっ、宝箱みたいだな!」
「えっ!?まじで!?財宝っ?!」

急いで大きな網を取ってきてエースとすくい上げれると、それはなんとも立派な宝箱だった。

「あたし、宝箱とかはじめて見たよ!」
「ハハッ、でも中身はないかもしれないぜ」
「そんなっ!?せめてダイヤの一個や二個くらい」

まわりにくっついている、海藻などを払いのけ宝箱をあけようとすれば、


ガタガタ ガタッ ガタガタ


突然、激しく揺れ出す宝箱…!?
びっくりしてエースにしがみつけば、ギュッと抱きしめられた。でも心なしかエースも震えている気がする。

「ちょ、ちょ…こわいよ!まさか、お、おば、おばけとか!?」
「はっ!?そ、そっんなわけねーよ」
「じゃあなんでエースもビビってるの?!男ならドーンと開けてみてよ…」
「いやいや、ここはレディーファーストだろ、なまえに譲ってやる」
「ジェントルマン気取りっ!?」

お互いどちらが開けるか言い合いすること数十分…いい加減疲れてきたあたしたちはマルコ隊長にお願いすることにしてこの戦いにピリオドをうった。

「それでおれを呼んだのかよぃ」
「だって、エースがチキン野郎なんだもん!」
「なまえだって、か弱いふりなんかするなよな!」
「あたしはアスファルトに咲く花のようにか弱いですぅー」
「野性的じゃねーかよ!」

ギャーギャーとまた騒ぎ出すあたしたちにゲンコツを落とすマルコ隊長(口から脳みそがでると思ったよ)

「お前ら怖いなら離れとけよぃ、おれが開けてやるから…」
「いえっ!この瞬間をみるために生まれてきたのであります」

ビシィと敬礼すれば、はぁ…とため息をはかれデコピンされた(痛!えっ、なんで?)

「よし、開けるぞ」

ゴクリと唾を飲み、宝箱に注目するあたしたち。エースの手を握れば力強く、握り返された(その手は汗ばんでいた…やっぱり怖いんだな)


パカッ


「ギャアァアアア!?」
「なまえ?!」

宝箱を開けた瞬間、飛び出してきたなにかにあたしは襲われた!ああ、死ぬ!死ぬ!死ぬー…?いやいや、ちょっ、ちょっとくすぐったい!恐る恐る目をあければ、目の前にはなんともかわいらしいワンちゃんがいたのだ!

「まあ!なんってキューティープリティーベイビー!」
「うぉっ、なんで犬が出てくるんだよ」
「だれかに捨てられたんだろぃ」

宝箱からでてきたのは白くて、ところどころ模様が入ったワンちゃん。どうやらあたしが好きみたいで、ずずっと顔を舐めてくる(かわいいな!こんちきしょー)こんなかわいいこを捨てて、海に流すなんて信じられない。よし、あたしは決めたぞ!

「あたしこの子飼う!」
「はっ!?本気かよ…」
「ねえー、ちゃんと面倒みるからいいでしょう…ママ?」
「だれがママだよぃ!だけど…」

なまえはいまにも泣きそうになりながら、すがった目でおれをみている。ちくしょう、あの犬までウルウルした瞳でおれをみている(かわいすぎだろぃ)


「お風呂もちゃんと自分で入れろよぃ」
なまえの頭をなでれば、とびっきりの笑顔でママだいすきと抱きつかれた(だから、いつからママになったんだよぃ)

「やったぁああ!家族が増えたぁあ!」
「あとで親父にも見せに行こうぜ」
「うん!あっ、名前なににしょう…やっぱり強い犬になって欲しいし、ホワイトストロンガーかな?」
「いやいや、ホワイトドッグだろ」

エースとなまえがさんざんな名前をあげていってるが、
よく見たらそれ……………

「白いトラの赤ちゃんだよぃ」
「「えェえええ!??」」



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