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部長なのよーん




「ちょっと、麦ちゃん!みょうじなまえって子いるぅー?」

休み時間、トイレから戻ると教室の前に大柄の変な人がいて、あたしのことを探していた。

「なまえなら…あっ、あれだぞ」

あたしを見つけたルフィが指を指す(ちょっとやめろ)こんな大柄の変な人と関わりたくないよ…あたしの気持ちとは裏腹に回りながらこっちに向かってくる、その大柄の変な人…もう変態でいいや、変態は華麗に回りおえると、あたしの前でビシッとポーズを決め、ひとこと言った。


「アンタをチア部の副部長に任命するわよーん」

「はっ!?」

「あちしはチア部部長のボン・クレー、ボンちゃんとお呼び!」


いや、確かに新入生歓迎球技大会のときにチア部に衣装を借りる条件で、入部したけど…いきなり副部長はないでしょ!?しかも、こんなオカマが部長だったなんてっ!(あっ、だから廃部寸前なのか?)

「あの…ボンちゃん先輩」「なによーう?」

「なぜ一年のあたしが副部長なんですか?」

「それはねぃ………」
「それは……?」

「アンタとあちしはおんなじ匂いがするからよーん!(どーん)」


そんな、堂々と言われても嬉しくない!あれか、あたしにオカマだと言いたいのか!?ちくしょう、これでもいちおう、本物の女の子なんだからねっ!涙が出そうになるのをこらえながら、あたしはボンちゃん先輩に副部長になるのは無理だと伝えた。


「なぜっ!?なぜなのなまえ…あんなにシューズに穴があくまで踊り狂ったアンタが…あちしとアンタの青春の日々を忘れたの?!」

「いや、勝手に思い出を偽造しないでください…青春の日々なんて知らないです、」

「そんなことより、なんで無理なのよーん?」

「それは……」
「それはん……?」


「昨日からバイトを始めたからです!(どーん)」

「ちょっと、ちょっとそんな堂々と言われても校則でバイトは禁止されてるじゃないのよーん」


そう、この学校は身なりなどの校則は恐ろしいほど自由なのに、なぜかバイトは禁止されている。だけど内緒でバイトをしている子たちも結構いるのだ。あたしもちょっとお小遣い欲しさに昨日面接を受けたら採用されてしまった。だから、副部長なんかになったら毎日部活に出なきゃいけないし、いろいろ責任とかも大変そうだし、あたしには無理だ。


「ただの部員なら、堂々とサボれるけど…副部長はちょっと、」

「なに部長の前でサボる宣言してるのよん、でもそれなら心配ないわ!」


ガシッと両手を捕まれ、ボンちゃん先輩は目を輝かせながらこう答えた。


「チア部は週に2日しか活動しないから!あんたは部活がない日にバイトしたらいいじゃないの!」

「えっ?部活って毎日じゃないんですか?」

「そうよーん!あちしはオカマ拳法部の部長もしてて、どっちかっていうとそっちが本職だからチア部は応援依頼がないと本格的に活動しないのよん」


(へえーそうなんだ、案外ゆるい部活なのか)しかもボンちゃん先輩なにげにおもしろくて気が合いそうだし、チア部も楽しそうだ!よし、決めた!


「ボンちゃん先輩!あちし副部長になるわよーん!(うわ、口癖移っちゃったよ)」

「ああ、なまえーん!」


ガシッとお互い強く抱き合いあたしたちはチア部の部長と副部長という納豆とネギのような関係になってしまった。ついでにナミとボニーも部員としてボンちゃん先輩に紹介しておいた。


「あらっ!一気に部員が増えて嬉しいわよーん」

(なに、このオカマ…)
(ていうか、うちら…いつから部員になったんだ?)








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