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完全敗退




「これはまさに、戦争だ!よそ見してたらあっという間にやられるぞ。みんな油断するんじゃないぞーっ!おぉおおー!」
「なまえうるせー」
「あっ、マルコ隊長!うるさいなんてひどい!これからあたしは戦場に旅立つんです。」
「戦場?ただの食堂だろい?」


そう戦場…それは食堂のこと。だっていつも、いつも、いつも!あたしのおかずたちはいつの間にか、エース隊長のお腹の中に消えていってしまう。あたしがおしゃべりに夢中になってるのも悪いけど、自分のお皿にまだまだおかずがあるくせに、エース隊長はあたしのおかずばかり狙うんだから!きょうこそは負けないんだからねっ!


「よし、準備おっけー」
「よう!なまえ、となり座るぜ」

来たな!この泥棒猫っ!今日のあたしは一味違うんだから!取れるもんなら取ってみやがれってんだ!こんちきしょー!

「うまいなー!あっ、おまえのハンバーグもうまそうだな」

さっそく、やってきた!あたしの頭の中で空襲警報が鳴り響いた。なまえがんばれ!今日こそはなんとしても死守するのよ!ディフェンス一本!

「だーめ!これはあたしのハンバーグなんですよ」
「いいじゃねーか!一口くらい」
「隊長の一口は、あたしが食べるハンバーグを残り一口にしてしまう恐怖の一口なんですからね」

ぜったいダメ!とハンバーグを隊長から遠ざけ体全体でガードし、激しい攻撃から必死に守った。すると、あきらめたのか大人しく自分の皿にある料理を食べ始める隊長。

「ふぅー、最初っから自分のを食べればいいんですよ」
「………」
「やっぱり守り抜いたハンバーグの味は格別だな!」
「………」

あれっ?あれれ?隊長すねちゃった!?あたしにぜんぜん反応しなくなって、ひたすら食事をつづける隊長(そんなに、あたしのハンバーグがよかったの!?)

「た、たいちょー?エース隊長?」
「………」
「食事は楽しく、ワイワイ食べるもんだって言ってたのはだれですか?」
「………」

うわあー!完璧にシカトだよ!なんで!?なんで?!あたしはただハンバーグを守っただけなのに…こんな雰囲気耐えられないよ!よし、なまえ…大人になるのよ!

「隊長、あたしのハンバーグ食べます?」
「おっ!いいのか?悪いなー」
「はあ…隊長が機嫌なおしてくれるなら、喜んで…」

うまそうにハンバーグを食べる隊長はほんとにガキだと思うけど、あんな雰囲気よりはましだもんね!(でもハンバーグ食べたかったな…)最後の一口というところまでハンバーグを食べ終えた隊長が急にあたしに笑いかけた。

「ほら、あーん!」
「はぁっい!!??」
「食いたいんだろ、だから!あーん!」
「いや、でも、それは…ちょっと恥ずかしいっていうか、」

ああ!うっせー!いいから食えよ!とハンバーグを口に押し込まれる(なんて、強引なっ)

「どうだ?うまいか?」
「はい、おいしいですよ!」
「間接キスだな」
「ブゥウウウ!!!」
「汚ねーな、なんなら直接キスするか?」
「ブゥウウウ!!!」



完全に敗北しました!あなたには勝てません!
すぐすねるし、人のもんばっかり欲しがるガキだけど…そんな隊長がじつはキライじゃない







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