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インチキ占い師にありがとう




「あんた…」

ごくん、

「このままだと不幸になるよ」
「えっ!うそだよー、だってあたし今幸せだもん!」

あはははっと笑い飛ばせば、占い師のおばさんはカッと目を見開きあたしを睨みつけた(ホラーだ、こ、こっ、こわい!)

「す、すみません…あの、どうしたらあたしは不幸にならずにすみますか?」

恐る恐るたずねれば、これを身につけなさいと青い宝石がついたペンダントを渡された。

「あの、これは?」
「このペンダントはね、身につければすぐに運気がよくなり、ご飯はよりおいしく、空はより青く、もしかしたら道でお金を拾えるかもしれないというなんとも有り難いペンダントなんだよ」
「おぉー、そんなすごいものがっ!?」
「いまなら、5000ベリーで販売中だよ」
「わかりました!買います」
「いや、いらねーよ」

おら、行くぞといきなりどっかから出てきたエース隊長に腕を引っ張られ、席から引き離されていくあたし。占い師のおばさんがどんどん小さくなっていく(ああ…幸せのペンダントがっ!)

「ちょっとエース隊長!離してください!腕がちぎれるっ…」
「あっ、わりぃ」

腕を離され、向かい合うあたしたち。あたしの幸せどうしてくれるんですか!?とシクシク泣きマネをしたらバシンッと頭を叩かれた。

「お前なあ…あんなインチキ占い師にだまされるなよ」

幸せのペンダントとかウソに決まってるだろ!5000ベリーで幸せになれたら世の中平和だ!と熱弁された。

「た、たしかに…でもあたし彼氏もできないまま不幸になったら…」

考えたらなんか泣けてきた。涙目になったあたしをみて隊長はめんどくさそうに頭をかきながら手を出せといった。おとなしく手をだせばあたしの手のひらをじっくり見ている隊長。

「なにしてるんですか?」
「じつは、おれ手相をみることができるんだ…だからお前が彼氏できるかどうかみてやる」
「うおぉ?!まじっすか!?どーですか?あたし彼氏できますか?」

しばらくジッと見ていた隊長がみえてきた、みえてきたと呟く(どきどきする!)

「……おっ、お前のことを好きなやつがいるってよ」
「きゃああ!うそ!?だれだれ?」
「お前の近くにいて、黒髪でくせ毛で笑った顔がかっこいい野郎だ」
「うーん、だれだ?あれ、ちょっ、ちょっと待って」
「なんだ?」
「その黒髪でくせ毛で笑った顔がかっこいい野郎ってオレンジのハットをかぶってたりしますか?」
「おぉーよくわかったな!」

そう言って笑う隊長の顔は最高にかっこいい(ああ…自分の顔が真っ赤になっていくのがわかる)


インチキ占い師にありがとう
「た、隊長!」
「なんだ?」
「あたし、いま幸せかも…」
「そりゃあ良かった」

そう笑った顔も最高にかっこいい




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