勝負は最後まで油断するな
「あぁ…うん、そうだ」
(もう10分くらいじゃない?)
エースはいま電伝虫でなにやら真剣な話をしている。なにか重要なことだろうというのはわかるが少し寂しい…なまえちゃんは寂しいと死んじゃうんだぞ!ってあたしはうさぎか!?ああ、やばい!やばい!何ひとりでノリツッコミしてるんだろ…ベッドの上でゴロゴロしながら、そんなことを考えていたが、あたしはパッと起き上がりエースのとなりへ移動した。
「エース」
少し小さめの声でエースを呼べば、チラッとあたしを見るとシッシッと手で追い払う仕草をみせる(ちくしょう…あたしは犬かっ?!)なんかあたしだけ寂しくてバカみたい…ブゥーと頬を膨らませば人差し指でツンツンされ、ばーかと口パクで言われた。
まったく相手にされないなー、こうなったら何が何でもジャマしてやる!勝負だ!エース!
エースを後ろから抱きしめ、首もとに顔をうずめ、キスマークをチュッチュッとつけていく。一瞬だけ頭を叩かれたが、あたしの行動に全然気にすることなく電話を続けるエース…。
(これならどうだ!?)
次はわき腹をこちょこちょとくすぐってみた。相変わらずいい腹筋だ…でも全然効いていない!まるであたしを空気のように扱っている…これは失敗だな。
(よし!最終手段だっ!)
エースの耳にフッと息を吹きかければピクッと反応した。ふふふっ…エースが耳に弱いことをなまえちゃんは知ってるんだぞ!(あたしを寂しくさせた罪は大きいんだからね)耳たぶをペロリと舐め、甘噛みしてると、くすぐったそうに体をよじっているエース。でも相変わらず電伝虫の相手とはきちんと話している。
(あと、少しであたしの勝ちだな)
勝利を確信した瞬間だった…急に頭をガッと掴まれるとそのままエースにくちびるを塞がれた。そして、おれの勝ちだなと耳元でつぶやかれる。突然の出来事に思考回路はショートし、なにが起こったのか理解するのに時間がかかっているあたしに、何事もなかったかのように電伝虫で会話を続けるエース。
勝負は最後まで油断するな
(いきなり、ちゅうするなんて…
反則でしょ!)
無料HPエムペ!