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たぶん、僕は持っていない(切恋)




なあ、おれのそばにいてくれよ?ぜったい幸せにするから…頼むからおれだけを見てくれ…


「あっ、エースおはよう!」
「……」
「ちょっとシカト!?」
「いつもとちがうな…」
「えっ?なんか言った!?」
「うっせーな!おまえは朝から元気すぎるんだよ」



ぐしゃぐしゃと頭を撫でれば、きゃああ!今日は、はりきってセットしたんだからやめてよね!なんて、柄にもなく女らしいことをいいやがる…だけどおれは、いつもと雰囲気が違う髪型だからすぐ気づいた(だからあいつが見る前に崩してやった)


「今日こそはマルコのハートをゲットするんだから!」
「はいはい、どうせ相手にされてねえくせに」
「むきぃいいい!エースのいじわる」


ほっぺたを膨らまして怒る姿も普通ならわざとらしいんだろうが、こいつがやると違和感がない…むしろかわいく見える(恋は盲目ってやつか?)


「あっ、マルコだ!」


おれを押しのけ、やっと見つけた飼い主に愛情を求め走っていくなまえはまるで子犬のようだ…おれはなまえに捨てられた哀れな犬だな。あいつがマルコを好きなのはこの船にいる全員が知っている…マルコだって満更でもねえくせに、わざとあいつの気持ちに応えない(ああ、ムシャクシャする)






今夜は星のきれいな静かな夜だった…見張りをしながら、ぼんやりと海を眺めていると下から誰かが登ってきた(誰が登ってきたかなんてすぐに分かったが、)


「なまえか?」


手を差しのばせば、正解!よくわかったねなんて笑いながらおれの手をつかむ。よいしょっとおれの隣に座ったなまえに毛布を渡せば、遠慮なく受け取る。


「エースも入る?」
「いや、おれは大丈夫だ」
「そっか…」
「………」
「………」


しばらく沈黙が続く、こいつの元気がないときはマルコ絡みって決まってる…そんなときはいつもおれが励ましてやってるから、すぐにわかる…いまだって月明かりに照らされ涙のあとがうっすら見えた。


「ねえ…エース…」
「ん?」
「やっぱりマルコはあたしのこと妹としか思ってないのかな?」
「……(ちげぇよ)」
「なんか、あたしいつも1人で空回りしてバカみたいだよね」
「…んなことねえよ」
「だって今日だって髪型のこと気づいてくれなかったし…」


エースはすぐにあたしの変化に気づいてくれるのにね…と呟くなまえに驚いた(聞こえてたのか)


「あとね、あたし見ちゃったの…マルコがナースのお姉さんとキスしてるとこ」



それを聞いた瞬間、おれはマルコが許せなくなった。あいつだってなまえのことが好きなくせにわざと不安にさせやがって!おれは今まで我慢していたが今日だけは許してくれと心の中でなまえに謝り、きつくあいつを抱きしめた。


「ちょ、ちょっとエース!?」
「少し黙れ…そしておれの言うことを聞け」
「う、うん」


なまえの鼓動がどきどきいってるのがわかる、そしておれの声が震えているのもきっとあいつにもバレてる…けど今だけは…


「おまえはバカだし、マヌケだし泣き虫で食い意地もはってるけど誰にでも優しいし勇気もある…それに結構かわいいから、もっと自分に自信もてよ」
「う、ん」
「おれはいつでも、おまえの味方だから、」


エースの声が震えている…ほんとはね、ずっと知ってたの…エースがあたしのこと好きだってこと、でもごめんね、いつも知らないふりして優しいエースに甘えてた…最低な女だよね、エースのことを好きになったらとても幸せにしてもらえるんだと思う。だけどどうしてだろう?

たぶん君の望むようなものは、僕は持っていない

寂しいときに支えてくれるあなたより、寂しくさせるあの人のほうが愛しいの…



Thank you!10000hit ミア様へ




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