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満月の夜は狼男に注意!




(あっ、今夜は満月だ…)
賑やかな宴から少し離れて甲板の手すりに寄りかかり、そのおっきな満月を眺めていた。少し夜風が冷たくて寒いけど、酔いを覚ますにはちょうどいい…。

「なんだ、なまえ酔ったのかい?」
「いえ、ただ月が綺麗だから…」
「…ほんとだな、」

しばらく無言でマルコ隊長もいっしょに月を眺めていたが、やっぱり月見より酒だ、酒!と宴の中心へと帰っていく…その後ろ姿を見つめていると、いきなり立ち止まったマルコ隊長が振り返り、あたしにこう叫んだ。

「満月の夜は狼男に気をつけろよい」
「はいっ?」

あたしの疑問に応えることなく去っていくマルコ隊長…だけど、狼男なんて現実にいるわけないじゃん(酔ってたのかな?)そんな不思議がってるあたしのもとに今度はエース隊長がやってきた。

「よう、なまえ!」
「ちょっとセクハラですよ!いきなり抱きつかないでください」
「うるせー、下っ端のくせに生意気言うんじゃねえ」

職権乱用!権力ってこわい!ミシミシと音が聞こえるくらいまで力強く抱きしめる隊長…まじ痛いから、普通うしろから抱きしめられたら胸きゅんなのに、これには少し殺意すら感じる。

「隊長、飲みすぎです」
「いや!おれは酔ってないぞ」
「うそつけ、目がイッちゃってますよ」
「ちがう!おれはイクならベッドの上って決めてるんだ」
「そのイクじゃない!」

まったく…、完全に酔っ払いじゃん!酔ったうえに抱きついてきて、下ネタ言って…あたしが訴えたら、ぜったいエース隊長セクハラの罪で捕まるよ!

「ほら、送りますから、今日は大人しく部屋に帰りましょう」
「いやだ!まだ飲むんだ」
「ワガママ言わない」

ほら!と手を出せばシュンとした表情でおとなしくあたしの手を握る隊長(ちょっとかわいいじゃん!)あたしの母性本能がくすぐられる!母親気分でバカ息子(エース隊長)を部屋までひっぱり、ベッドに寝かせてあげた。

「いい夢みてくださいね」

まだ酒!酒!と騒いでいるエース隊長を寝かせて布団をかけてあげ(ほんとに世話がかかる隊長だ!)部屋から出ようとしたら、いきなりあたしの目の前には天井+エース隊長のお顔が広がった…つまりは押し倒された(この体制はヤバいよ!)

「ちょ、ちょちょっと隊長!?」
「なまえが悪いんだぞ」
「えっ?」
「今日は満月だ」
「はっ!?」

反論しようとするあたしの唇をエース隊長のそれで塞がれた(うん、キスされた)いきなりの展開に頭がついていかないあたしにニヤリと笑いながら隊長はあたしの耳元でつぶやいた。





男はみんなオオカミなんだぜ?

(拝啓、パイナップルみたいなマルコ隊長…狼男ってほんとにいたんですね)






あきゅろす。
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