プロローグ



ざぁぁ……

風が木々を揺らし、地を駆ける。
橙色の木漏れ日に瞳を開けば、感じたものと違い緑色だった。

「………」

瞬く。
身を預けていた大木から離れ、眠気を覚ますために背筋を伸ばす。
風が吹き、柔らかな薄茶色の長い髪がなびく。

「……?」

風が、違う。

木々や草花、動物達の匂いに混じった馴染みのない匂い。
以前にも嗅いだことのある、これは──。

「血の匂い…?」

ザァッ……

強い風が、吹いた。


20080712


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