[携帯モード] [URL送信]
好きと嘯く


春が近づき桜が舞う季節になる。あっと言う間に過ぎた冬休みからの3ヶ月。卒業式を終え、高校生を終えた卒業生が去りゆく桜並木の中、マルコとエースは卒業生を見送りながらも2人、話していた。


「はえーな。」

「また、お前のクラスの担任だとよ」

「マジ!?…ってかそれ言っていいのか?」

「ん、まぁ。3年間一緒だと、飽きるな。」

「まぐれ過ぎるよな。3回連続で担任なんて。」


エース。つまりは今年で3年生。マルコとは一年からずっと一緒だった。

マルコ。エースのクラスの担任であり、生徒の信頼が厚いということでは数少ない有望な先生である。

そして、エースもマルコを信頼していた。その中にある想いを隠し続けながらマルコの隣をいつもキープしている。
マルコは真面目であり、生徒とは余り関わらない(それでも信頼があるのはすごいことである)にも関わらず、エースだけは何故か近くにいてもいいようだった。
エースはそれだけで優越感を味わっているからまぁ、満足はしているようだった。


「もう受験か…。」

「お前に出来るか?」

「ひでぇな…。…そういえば、おれの弟が入ってくるんだ…。」

エースには一人、血のつながらない弟がいる。親がいない故にエースが大事に世話をし育てた家族だ。


「知ってるよい。おめーいっつも話してんだろい?」

「そだっけ?」


先程からこの様な会話ばかり。しかしマルコはエースとの会話ばかりでもなく、話す間にしっかりと卒業生からの手紙やらハイタッチの要求を受け取っている。
そればかりは、やはり譲れないらしい。
エースは少し、卒業生に妬いていた。



卒業生も過ぎ去り、在校生がぞろぞろと帰路に着こうと門に向かい歩く。

そこでもマルコとエースは一緒にいた。



卒業生、在校生の中にこんな噂がある。

「マルコとエースはデキてる」

実際はありえない話だ。エースは自分で認めてる程、マルコに気があるが、一方のマルコは絶対生徒に好意を抱かないと決めている。

この噂は必然的に彼らの耳に入っていた。
2人は勿論のこと、全否定。
だが、エースには悔しさがあった。
マルコは、笑いながら否定する余裕が有るところ、エースに気はない。

何故2人は一緒なのか。少なくとも、マルコはエースを一番気に入っている。
成績は勿論平等だ。人間性が、一番気に入っているみたいだ。
そんなことにうすうす気付いていたエース。やはり、悔しさが残るみたいだ。



(またあの2人一緒にいるね)
(やっぱデキてるよ。)
(そしたらホモよ?)
(有り得るわよ。今の時代)
(ふふふ)


ひそひそと話し声。どっと溢れる笑い声。エースの耳にはしっかり入っていた。
屈辱にさえ思えた。


一方のマルコは、相変わらずぼけーっと宙を見ていた。


(ねぇ、このままさ。どっちか が告ったらウケない!?)
(キャハハっ!!そりゃないでし ょ!!)
(そうよ。あり得ないって!!)
(でも面白いかもじゃない?)
(まぁ、ね。ふふっ)


在校生の女子組はだいたい50メートル当たり先にいる。
声がでかすぎる。

いや、それともエースが地獄耳なのか。



「なぁ、エース」

ぼけーっとしていたマルコが突然真剣なような声、顔でエースを見つめる。
エースはついに怒るのかなー。なんて女子組のことを自業自得だと多少罵った。
マルコが真剣な事など、他人ごとのように。



「好きだ」

「え。冗談?」

「本気だ。」


…これでは彼女達の言っていたようだ。マルコは聞こえていて、わざとからかったのか。

彼女達の焦ったようなこえ。マジでしたよ。聞こえてたんじゃね?ヤバい帰ろっ!?
甲高い声が響く。

エースが口を開こうとしたらマルコが邪魔をした。



「なんてな。」


「……ぇ。」


にっと笑ってマルコは後ろをむく。
女子組の声が遠のいていった。そして、マルコの背中も。

最後に笑った意味はなんだったのだろう。




好きと嘯く
(うそぶく)

(嘘の中のほんと。)
(余裕こいてたのは、隠すため。)

END

嘯く。いったくせに知らん顔するって意味ですね。
マルコは実はエースのこと好きなのに、教師だからだめだと隠し通してきた。

でも、女子組のコソコソ話を聞いて、その力を借りて告白しつつも知らん顔する。ていうか冗談ぶる。そんな話。

エースが振り回され気味。

マルコが後ろを向いたら矛盾するけど気にしない^q^



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!