君に呼ばれた回数は。
1。…。
…5。…8。
「エース」
9回目。
「何マルコ?」
おれはさっきからマルコがおれを呼んだ回数。というのを数えている。
昨日もやったのだが、15回。
恋人としてどーよ?
そういえば、おれ達は付き合っている。言わば恋人同士…。何だけど、キスから上の行為はまだシていない。
まぁ、おれが怖がってんだけどさ。
「…エース。いい加減にしろい」
「あ、ごめん。呼んだ?」
「4回くらい呼んだよい。」
…13回…。
自分の世界に滅入って、マルコの呼び声に答えられなかった。
「…で、何?」
まだ昼頃なのに、今回は期待できそう。
13回なんて滅多にないんじゃないか?
「それでな、エース。お前…最近俺の話全然聞いてないよな?どうしてだよい?」
「…え?」
なんか。怒ってる?
…14回。
ヤバいと勘づいてるくせにまだ数えてる自分が、ひどく滑稽におもえた。
こんな風にマルコがおれの名前を呼んでくれた回数を数えてるから。
なんて、いえるはずもない。
ぶっちゃけ。こんなことしてると知ったら、マルコはおれのこと嫌いになるんじゃないかな…と、思う。
だから、絶対に言いたくはない。
「なんでだい?」
「あー。最近、寝不足で…」
こんな理由じゃダメか、呑気に考え。自嘲気味に笑う。
最近おれ、自由すぎてはいないか?
すぐに自分の世界に入っている。そして、マルコを困らす。
「……そうかい。」
少し間が空いてから、マルコが口を開いた。
心なしか、怒りが込められている気がした。
「あとさ、エース。」
「…ん?」
「お前の日記の数字。何だよい?」
サッと。血の気が引いた。
見られた…!?
あ、今何回だっけ?
もういいや。
おれが口ごもると、マルコは興味深そうに迫る。
言いたくない。 引かれる。
おれがずっと黙っていると。マルコは口角を上げた。
「お前が俺に呼ばれた回数。とかな。」
「…!!」
なんで。なんで分かったんだ…!?
顔に血が上っていくのがわかる。
わかるくらい。おれの顔は今、赤色に決まっている。
――恥ずかしい…!!死にたいくらい…!!…恥ずかしい…。
「なんてな。赤いよい?…エース。」
「…っ…!!」
冗談かよ…。
一瞬。言葉に詰まった。
びっくりした。
死ぬほど恥ずかしい。
おれの心臓はまだうるさい。
その頃。マルコの姿はもうなかった。
―――――――――
ごめんな。エース。
実は。
(俺はお前を読んだ回数を数えてる。)
君に呼ばれた回数は。
君を読んだ回数を。
END
エースはマルコに呼ばれた回数を数えてて。
マルコはエースを読んだ回数を数えてる。
実は。マルコも日記に読んだ回数を書いていたんです。
それで、エースのこっそり見た日記に数字が書かれてて。それが、ダブったから、マルコはおおよその予測ができたわけなんです。
互いが互いを互いが互いに同じことをしていたんです。
こんな二人…かわいいと思うんですよね…!!!
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