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誕生日2


夜がきた。
約束の夜。

こうしている内にも、明日に近付いていく。
エースの誕生日は今日でしかないのに。


マルコは、書類を口実に自分の部屋から出てこない。
いや、出て来れない。


だが明日になるにはまだ夜は浅い。まだ、9時位だろうか、皆の酔いも醒めないし宴も無論終わっていない。


マルコはエースの酔いが醒める頃と宴が終わる頃を見計らっている。

でないと、マルコはエースに伝えられないからだ。

誕生日特有の言葉を。


しかし、無情にも宴は終わらない。早く終わっても1時やそこいらだろう。

マルコは自室で宴が早く終わって欲しいと密かに思っていた。




一方の宴が催されている甲板では、そのある一角で何故マルコが来ないかを論議されている(そこまでするほどでもないが)

メンバーはサッチとエースとビスタやジョズ位だが、後者の2人は酔いつぶれて使い物にならない為、サッチとエースだけだ。


「呼んできたっていったじゃんよ」

「知るかよ」

「なんで来ねーの?」

「お前が嫌いなんだと」


ドゴスっ!!とかなり痛そうな音が響いた。

んな殴るこたねーだろっ!!
と罵声が聞こえたがエースはそれを無視し、一人何故マルコが来ないのか考えていた。

それにしてもお前が嫌いだ、はあまりにも無責任だと誰しもが思うだろう。

いくらなんでも言い過ぎたことに気付いたサッチは少し反省した。


「………エース…」

「考えたってしかたねーか」

 今まで床に重く座っていたエースはすっと立ち上がった。

「えっ!?ちょ、お、おいっ!!」

 いきなり立ったエースに驚いたサッチは思いの外間抜けな声を上げてしまった。
エースの足は自然と船内へと向かれていた。

エースがマルコの自室に行くと悟ったサッチは慌ててエースを止める。


「っ!!なんで止めるんだよ!!」

「なんとなくだ」

「はぁ!?なら行かせてくれよ!!」

「どこへ、何のために!?」


「あっ、とそれは…」




言葉に詰まる。それは、自分がマルコの部屋に行く、と言うことが読みとられたからだ。

確かに、マルコの部屋に今行ったって仕方がない。

エースはマルコがいつまでも経っても来ないから呼びに行くつもりだったのだろう。

しかし、サッチはマルコが来ない理由をだいたいは掴んでいる。
だから敢えてエースを止めた。
いや、とめるのが義務だったのかもしれない。





「いまは、待とう」



このエースにとって残酷な言葉に、返答はなかった。














もう大分時間がたち、宴もすっかりしんとしてしまった。

今は夜、1月1日の午後11時。

朝から続いた宴に、もうみなが疲れてしまったみたいだ。

会場だった甲板も散らかってはいたが、人の気はあまりなかった。


いるのはたった一人。


エースだけだ。

あれからサッチはエースと共にマルコを待っていた。

理由を掴んでいるサッチにとって、エースが段々悲しい顔になっていくのを見るのは余りにつらかった。



やがて、サッチも眠気と怠惰が襲ってきたのか、自室に帰っていった。







(マルコ…来ないのかな)


ずっと心に再生されていた言葉。
待ちに待っても、マルコはなかなか来ない。


その時だった。

甲板に繋がる一つのドアが静かに開いた。



「……マルコ…?」



その先にいたのは待ちわびていたマルコだった。


「悪い、遅れた。」



マルコはエースに一歩一歩近付く。
エースは、憤りと歓喜で動けずにいた。

その瞳には、涙があった。




「……マルコォッ…!!」



そっと近づく体に、エースは抱きよった。 マルコの暖かな体温、匂い、感触を肌で感じ、今までに我慢していた感情を一気に溢れ出させる。


マルコはそれを愛おしそうに抱き締める。





「遅れてごめん、誕生日おめでとう、エース…

…生まれて来てくれて、ありがとう。」



「っ、うん…!!」




2人は甲板で抱きしめ合い、どちらからともなく、口付けた。


エースはこの時を、マルコはタイミングを待っていた。
望んでいた。

そして、今、叶ったのだ。





誕生日。

誰もが幸せに過ごす日。
誰もが主役になれる、たった1日。






(11時59分ギリギリのハッピーバースデー)

END


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ここまで日数過ぎるとギャグにしか思えないのは、作者の私だけでは無いはず…!!

では、ありがとうございました!
ハピバエース!!






あきゅろす。
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