マルコ誕
「ハッピーバースデー!!
マルコーーー!!!」
バダンっと痛々しい音を立ててドアを開け入ってきた男。
エースは、マルコの唯一無二の恋人である。
今日は10月5日。
つまりは不死鳥マルコの誕生日である。
勢いよすぎて多少破損したドアを呆れた目つきで見据えたマルコはその視線を恋人エースに移した。
その視線は呆れ半分怒り半分のようで、鬱陶しいとでも言いたそうである。
「なんだよい、いきなり」
「えー。だってお前、誕生日だろ?祝うのは当たり前だって」
「はぁ…。頼んでねぇ」
「ぁあ!?頼んでなくても祝だいだろ!?」
マルコの言い分に多少腹がたったエース。
確かに、恋人の誕生日を祝って嫌がられたら誰だって癪だ。
今日はキレやすかったのかエースは顔を赤くさせた。
「はぁ、浮かれたおれがバカだったよマルコのバーカっ!!」
「あ、おいエース!!」
バダンっ
またしても、勢いよく閉められたドアは先程のダメージにプラスされ、かなり傷んでしまった。
マルコはそのドア見つめていた。
‐‐‐‐‐やってしまった、とでも言いたそうな顔でウロウロと口元を抑えているエースは周りから見たらかなり不審がられるだろう。
エースが挙動不審にウロウロしているのは言うまでもなく。
マルコを怒ってしまったこと。
恋人の予想外(多少は予想できたが)の反応がエースの癪に触り、罵声を残しマルコの部屋から飛び出してしまった。
あんなことするはずじゃなかったと言っても後悔先に立たずで、もう遅い。
なんで怒ったのか…。エースは普段は余り怒らない(短気ではない)のだが、今日は何故か一瞬にして怒りが頂点に。
というか、怒る権利はこちらにない。マルコの好きにするのが、妥当だろう。
今日はマルコの誕生日であるから。
―――謝りに行こう
多少頭が冷えたエースはマルコに謝ることを決めた。
―――ん?
何か思いついたように顔をふ、と上げた。
良いことを思いついたのだ。
「よしっ!!」
マルコの部屋に向けて進ませていた足を方向転換し、目的の地へと足を走らせた。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「出来たっ!!」
「見栄え最悪だけどな。」
「うるせぇ!!サッチ」
ここはモビーディック号の食堂兼キッチン。
ここでエースはサッチに教えて貰いながらもケーキを作っていた。
いや、今現在作り終えた。
なんと言っても、見栄えがよくない。サッチの指導は良すぎる位的確なのだが、この見栄えはエースに料理の腕が皆無と言っているようだった。
クリームはあちらこちらに散らばっているはそもそも、ケーキのあの丸い形をしていない。
さほど切らなくていいはずの苺が見るも無残に形がない。
赤いだけだ。
「ここまでひどいとなぁ」
「いいしっ!!持ってくし!」
「おい、ちょっ!!…………行っちまった…」
そそくさとケーキを持って退散するエース。
バタバタ走るから余計に形が崩れそうだ。
―喜ばせてやる!!
一人意気込むエースだった。
‐‐‐‐‐‐‐
「ふぅ…」
いざマルコの部屋の真ん前に来てしまうと、足がすくむ。
こんな汚い(自分でも言うほどひどい)ケーキを持って謝っていいのか。
余計に機嫌が悪くなるんではないか。
と、次々と不安の種が顔をだす。
「帰ろっかなぁ…」
―ギィッ
「あ、」
「エー、……ス」
「なんだその汚いケーキ」
「え!!あ…」
謝らなくてはという信号が頭に鳴り響くのに言葉がでない。動けない。
マルコの反応が意外。というか普段と変わらないところが不思議でたまらなかった。
「っ…ごめん」
「は?」
「バカとか言って…」
「ははっ気にしてねぇよい。大体、おれを祝ってくれたんだろ?ありがてぇよい」
「じゃあなんで!?……あんなに冷たかったんだよ?」
「あぁ…。おれあんまり人に祝われる事がなかったからよい。ちと…かっこつけて、大人気なかったな、すまん。傷付けて」
「マルコ…」
「ん…?」
「誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう」
「ふっ。なんて顔してんだよい」
初めて作ったケーキの味は。
ちょっぴり塩の味がした。
涙色ケーキ
(嬉しくて、嬉しくて)
(生まれくれてありがとう)
END
ごめんなさいしかでません。大分すぎてひょこひょこ更新なんて許されないですよね。
管理人失格です。
しかも他サイト様が書いてそうなネタ。
ごめんなさい。
マルコ誕生日おめでとう。
遅れました。
ここまでお目通しありがとうございました。
お疲れ様でした。
無料HPエムペ!