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Title digestion:E-den of cage
おはよう(矢頼)


珍しく、朝早くに目が覚めた。


だから、学校に行った。
いつもと違う日常が訪れるかもしれないという、ほんの些細な想いと共に。



「あ、おはよう矢頼君」


「…よぉ」



朝早かった自分よりも先に、名前が来ていた。
教室には名前と自分以外の誰もいない。


「早いな」


そう問いかければ、名前ははにかんだ顔を見せる。
お前は、俺にもそういう顔をするんだな。


そんな珍しいものをみるような感覚で名前の答えを待つ。

「うーん、宿題で、分からないところがあったから、それを調べるのにね」

「…見せろ」

「へ?」


取り出して勉強し始めようとする名前から教科書を取り上げれば、黄色い付箋が貼られているページを見つける。

そのページを開けば、試行錯誤した後が見られて思わずふっと笑ってしまった。


「わっ、笑わないでよー、わからないんだもの…」


しゅん、とする名前を尻目に、名前が持っていたシャープペンを取り上げてがりがりと教科書に解法を書き連ねて答えを書く。


それを見ていた名前が、はっとして自分の傍に来て教科書を覗き込んだ。


「わぁ、矢頼君、すごい!これ、こうやって解くんだね!」

「あぁ」







その触れ合う時間は、短かったけれど。

朝早く来たことに嫌な気はしなかった。







名前の前で、素直になっている自分に気付くのはまだ先。



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