[携帯モード] [URL送信]

小ネタ(南北朝)
例話(道→尊&円心)※シリアス
※何か思考が病んでる佐々木。



「もし目の前にお前の子孫が現れて、自分の顛末を話してくれるって言ったら聞いてみたいか?」

そんな突拍子もない問いを投げかけたのは、道誉が屋敷に招いた円心であった。
ぽつりぽつりと会話をしながら呑み交わしていた二人は、話題が尽きては月を眺めていた。そして、再び口を開いた円心の言葉が冒頭のものである。

「脈絡もない話だね、円さん」
「いや、前に尊氏さんと同じ話をした事があったからな」

尊氏。恋い焦がれている人物の名前が出た事で、道誉は一気に興味が湧いた。

「尊やんと?それはまた…で、尊やんの返答は?」
「分かってるだろ?聞きたくない、だ」
「だろうな。尊やんは臆病だから」

何となく察しはついていた。
あの人物が聞きたいなんて言ったら、それは天変地異に等しい。躁鬱の気がある彼がもし聞いて自害なんてしたものなら、道誉はそれこそ子孫に手をかけるかも知れない。

「お前はどうなんだ?」
「俺?」
「自分の顛末を聞きたくないのか?」
「聞きたくない、かな」

意外だと言わんばかりに円心は目を見開いた。道誉は少し心外な気がした。

「だって、聞いたら楽しくないだろ?初めて物語読むのに、傍で後の展開を逐一言われてるようなもんだろ?」
「お前なら聞きたいと答えると思ったんだがな」
「まぁ、正直聞きたいけどね」

でも、もし俺があの人を裏切るなんて顛末だったら、俺は子孫には悪いけど琵琶湖に身投げするわ。

そう続けた道誉に、円心は何か薄ら寒いものを感じた。

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!