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小ネタ(戦国)
夢?嘘?(滝池)※微グロ
※そういや彼のヤンデレをあまり書いてないなと思い。
BGMはリンの「恐怖ガ/ーデ/ン」辺りを思い浮かべてくれれば。



朝起きると、城には誰もいなかった。

「…評定、じゃないよな?」

だとしたら広間は騒がしいハズだ。しかし肝心の広間にも人影はない。

「何なんだ…気味悪いな」
「よぉ、恒興」

心細くなりつつあった俺の耳に、聞き慣れた彼奴の声が入る。
声の方向を振り返り、思わず声を上げた。

「一益!」
「そんな大きな声出さなくっても聞こえるって」
「あ、悪い…誰も見ないから、つい…」
「何だ、可愛いとこあるんだな恒興」
「黙れ」

異様な状態なのに変わらないコイツに安堵した。

ん?…何で「コイツはいる」のに、他の「みんなはいない」んだ?
一益に聞こうと口を開くが、一益がそれより早く言葉を口にした。

「恒興に見せたい奴があるんだ」

否応なしに腕を引かれ、俺は城の中庭に連れてかれた。
そこで俺は言葉を失った。

庭に腕が生えていたのだ。
一本ではない。花畑のように腕が生えていたのだ。

「これ、は…」
「手入れに時間が掛かったけど、お前の為に植え替えたんだ」

綺麗だろ?そう笑った彼奴の目は酷く濁っていた。
俺は言い表せない不快感を我慢しつつ、腕を見る。
何処かで見た腕ばかりだ。具足を着けたままの腕もあれば、傷だらけの腕もある。

「あの傷だらけのは明日には捨てるよ。見栄えが悪いしな」
「…ぁ」

その傷だらけのに見覚えがあった。掌の火傷の痕を見間違えるハズなかった。

「の、ぶ…」
「恒興?どうしたんだ?」

俺はその腕にフラフラと歩み寄り、抱き締めた。
冷たい腕に、涙が溢れた。

「っ、…こんなの俺は望んでない!」
「な、何でだよ?恒興言ってただろ?皆と織田に在り続けたいって。だから俺考えたんだぜ?どうしたらお前の願いを叶えられるかなって。だから皆のを植えたんだぞ?何で喜んでくれないんだよ…」
「煩い!俺はこんな…こんなのっ…」

冷たい腕は、何も答えない。

***

「…はっ」

あまりに嫌な夢だった。
あのバカが凶行に及ぶなんて、俺はどうかしている。
外からは家中の声が聞こえる。
やはり夢だったのだと安堵した。
部屋を出てすれ違う人に挨拶する。
何事もない、今日も普段と変わらない

「お早う恒興」

変わらない、

「お前に見せたい奴があるんだ」

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