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小ネタ(雑多)
無題
※ちまちま打ってたら着地点が分からなくなった。



「地獄で生まれたものは、許可無くばここから出られぬのだ」

***

裁判の合間に小休止。裁かれる亡者の列がこの時ばかりは絶える。
第一、第二補佐官が席を離れ、野狂は上司にして地獄の最高責任者である閻魔王と二人になった。

「亡者の相手は疲れるな。無実と喚く奴もいれば、我らを侮辱する不届き者すらいる」
「自我があるだけ、阿責を受ける亡者より厄介ですね」
「阿責の亡者にも自我はある。だが、延々と受ける阿責に気力を削がれているのは事実だな」
「…そう言えば、閻魔王様は何時からこの地獄にいらっしゃるのですか?」

野狂にしてみれば、それは雑談の延長であった。他愛ない好奇心から来る質問でしかなかった。
閻魔王が僅かに顔を曇らせたのを、野狂は知らない。

「…原初の人類が死した時からだ」
「原初の人類?」
「正確には、天竺で最初の人類が死した時からだよ」

そう言った第三者を見て、閻魔王は何処かばつが悪そうにし、野狂はその人物に驚いていた。

「泰山王様?」
「仕事を放って何しに来た」
「少しばかり顔を出しただけだよ。今は休憩だろ…そう邪険にしないでくれ」
「フン…」
「泰山王様は閻魔王様と親しげですよね。前から思ってはいましたが」
「幼馴染みに近いからかな」
「へぇ…」

野狂にそう告げる泰山王を、閻魔王は目付きを鋭くさせて睨み付けた。

「相変わらず昔の話が嫌いだね。黒歴史でもないだろうに」
「無駄口を叩く暇があるなら戻って仕事をしたらどうだ」
「やれやれ。どうやら機嫌を損ねてしまったようだ」

泰山王の物言いに、閻魔王は殺気を纏わせ睨む。
虚ろな瞳に、光が宿っているような錯覚を野狂は見た。

「仕方ないから私は戻るよ」
「用が無いなら控えろ…獄卒に示しがつかん」
「心配せずとも、仕事をしっかりこなしてくれるさ」
「もう少し十王の自覚を持ったらどうだ?」
「自覚ならあるさ。あの日から私は変わってないんだ。君と違ってね」
「…我は変わっていない」
「自分を過剰に戒めはしていなかった」

そんなに後悔しているのかい?

瞬間、閻魔王は拳を泰山王に振り上げた。しかし容易くそれは片手で防がれる。

(ここで着地点が不明に)

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あきゅろす。
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