小ネタ(雑多)
唐突な終焉(貞盛→将門)
※タヒネタ。
終わった。何もかも。
俺はどうやらここまでらしい。
すまない純友。お前の期待に応えられなくて。
倦怠感が蝕む身体を必死に支え、前を見据える。
目の前には、共に道を歩み、今は袂を別ち刃を交える立場となってしまった従弟がいた。
そして、俺は彼を「壊して」しまった。
「小次郎…」
酷く虚ろな目は俺だけを映し、口元には張り付けた笑みを浮かべていた。
「これで大丈夫だよ…僕は小次郎を苦しめたりなんてしない。君は楽に殺してあげるから…」
俺を憎んであいつは壊れてしまった…過去を悔いても仕方ない。
良く見ればあいつの背後であの人が弓を構えていた。あの人になら…
「ここまで、か…」
「何が?君は僕が殺してあげるまで終わりじゃないよ?」
俺は力の限りあの人に向かって叫んだ。
「…藤太!!お前になら俺の首、くれてやるよ」
「え…?」
呆気に取られる従弟を尻目に、俺の額に矢が射たれる。
これでいいんだ…身勝手かも知れないけど、これであいつは肉親の血でこれ以上は汚れずに…済む。
薄れる意識の中で、従弟があの人を問い詰めるのを見た。
***
「俵藤太!!何で殺した!?」
将門を討ち、この乱は終わった。
残るは西の反乱だが、今のワシには関係ない。
目の前の男を如何に説き伏せるかがワシにとって重要なのだ。
「お主が危ないと思ったからじゃが」
「僕が殺すはずだったんだ!!なのに、なのに…」
「ワシは討てと命じられたまでじゃ」
「黙れ!黙れ黙れ黙れ!」
やれやれ、これは面倒じゃな。
執着で狂った目の前の男には何を言っても無理のようじゃ。
…ワシは討ちたくなかった。
将門をワシなりに気に入っていた。まぁ、歳からしたら息子…孫やも知れんが。
素性も知らずにワシに挑んで来た時は驚いたが、拘らない奴は久しぶりじゃった。
「…ワシを恨んでいたのか?」
小さくそう呟く。
ワシはお主の味方になろうとしていた。しかし、こうして朝廷方としてワシはお主と戦い、討った。
…今となっては、本心など闇の中じゃ。
この戦いで得るのは名声かも知れん。
しかし、ワシは友を一人喪った。
***
「将門さんが…?」
「はい、俵藤太に討たれたと…」
「そうですか…」
「哀しいですか?」
「当たり前です。友としては」
「…」
「そんな怖い顔しないで下さい。今は友として思っていますよ」
「如何しますか?」
「そうですね…彼の弔いに私たちは勝ちましょう。それが私に出来ることなのですから」
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