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小ネタ(源平)
こわい(義→清)
※何だかウジウジ義朝。
すっごいフィーリング。



偶然だった。
武家を快く思わない貴族の刺客だろう奴らに夜道で襲われた。
相手は対して鍛練も積んでおらず軽く蹴散らせた。
だから油断していた。
死角に射手がいるのに。

「義朝!」

振り返った先には、肩を射抜かれた「友」がいた。

*

「一人で夜道なんか歩くものじゃなかったよ。義朝がたまたま近くにいたから助かったんだ」

駆け付けた平家の家令に詰問されていた俺を清盛は庇った。
無理に動かすと傷口が開きかねない、それに夜更けと言うのもあり、清盛は一日だけ俺の屋敷にいることとなった。

「平家の人間が源氏の屋敷にいるなんて変な感じだね」
「そうだな」
「気にしてるの?」
「…」
「私だって咄嗟だったんだ。君を助けなきゃって」
「余計なお世話だ…」

コイツは分からない。
いや、知らないままだろう。
コイツが射抜かれた時、俺の心臓がどれほど凍てついたか。

雲に隠れた月に照らされたのは、白を赤くじわじわ染め苦痛に跪く姿だった。
失うのが怖くて必死に傷口を抑えていた。血がぽたりと落ちる度に命まで零れている感覚だった。

お前がいれば源平の因果を無くせるのだと、
相容れない二つが歩めるのだと、
何よりも信じていた。

「義朝」
「…何だ」

顔を上げれば、清盛が笑っていた。首元から覗く真新しい包帯がやけに痛々しかった。

「君が無事で良かったよ」



(お前を失うのが、こわい)
(もし因果が存在しないと言うなら、)
(お前をこんな目に遭わせやしなかったのに)

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