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小ネタ(源平)
最悪な夢(義→清)
※「有り得ない結末」が義朝の夢だった。
義朝がむっつりヘタレ。



「…」

義朝は朝からゲン〇ウポーズで俯いていた。原因は全てあの夢のせいである。

(幾ら溜まってるとはいえ、あれは流石に酷いな…)

遂に淫夢を見てしまった自分の不甲斐なさと、どう考えても願望です本当に(以下略)な相手のやらしさに穴を掘って埋まりたいくらいには後悔している。

(俺は尻軽なアイツが好みなのか…変態極まりないな)

等と冷静だが、この冷静さが逆に彼が著しく混乱している証拠でもある。長年片想いを続け、蓋を開けたらこれである。
今日はよりによって、その相手と顔を合わせる日でもあり義朝は正直泣きたい気分だった。
だが、あの夢を見たとはいえ、逢いたいのは本心である。まともに顔を見る自信はないが、というのを付け足しておく。

「…組み敷いたときのアイツの顔、なかなか良かったな」

どうやら夢は満更でもなかった模様である。
先程までゲンド〇ポーズで悩んでいたとは思えないくらい立ち直っている。いや、開き直っている。

***

「義朝!遅かったじゃないか」
「随分早く来たな…ガキか」
「失礼だね!君のために屋敷を必死で抜けてきたんだからね!?盛国辺りに見つかったら部屋から出してもらえないんだよ!?」
「ふん、相変わらず甘ったればかりだな平家は」

先程まで夢で妄想していたとは思えないくらいの豹変ぶりである。しかし、ひとつ問題がある。

「ちょっと!うちの家族をバカにしないでくれる!?私だって怒るんだからね」
「ふん、怒った所で迫力もない」
「君って人は本当に…ねぇ、目くらい合わせて言えないの?」
「見ているだろ(チラッ)」
「チラ見じゃ説得力ないんだけど」

夢で興奮していたとは思えないくらい、義朝は清盛の前ではヘタレと成り下がっていたのだ。目を合わせられないくらいである。
罪悪感があるのなら何故先程まで興奮していたのかとか聞いてはいけない。彼だってお年頃だということだ。

「目上の人とは目くらい合わせなさい!」
「何を今更年上ぶって…!?」

ぐいっと、やや乱暴に首を向けられる。グキリと音がしたが、それよりも義朝は慌てていた。

(近い…)

息のかかる距離に相手の顔があった。間近で見た清盛の顔が、先程まで興奮していた夢の中の彼と重なる。

「っ…!」

咄嗟に清盛を突き飛ばした。清盛は尻餅を着くが、直ぐには反応できなかったのかキョトンとしている。漸く状況を理解すると、不安そうに目を向ける。

「どうしたの、義朝?」
「悪い…立てるか?」
「うん。大丈夫」

立ち上がりパタパタと土を払う清盛を義朝は見ていた。

「…清盛」
「何?」
「もし夢の中で、好きな奴と情事に及んだら…どうする?」

質問の意図を理解するかのように目をパチパチ瞬きさせると、清盛は吹き出した。

「何だよ義朝…くく、まさか君からそんな恋する乙女みたいな問いかけが出るなんて…ふふ、駄目だ…お腹が…苦しい…」
「此方は真剣なんだ。真面目に答えろ」
「悪かったって…私なら夢から覚めても暫く顔合わせづらいな」
「そうだよな…」
「何?」
「いや、何でもない」

模範的な解答に、義朝は小さく溜め息を吐いた。何というか、悲しくなってきたのだ。
どんなに焦がれても口に出さないと決めた感情は行き場がなく、ただ燻らせるだけなのだ。

(好きになんて…ならなければ)

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あきゅろす。
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