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愛が溶け込む(月/百合)




※百合



「一樹、のど乾いた」
「だったら自分でコーヒーでも淹れろ。ついでに俺のも」
「やだぁ動きたくないもん。…じゃあ、」
「名前先輩?僕も翼君も駄目ですよ?」


颯斗くんが怖い。ひいっ、冗談だよ冗談!
そう言えば颯斗くんは分かればいいんです、と再び書類に目を戻してしまった。

時計は5時を回っていて、いつもなら月子ちゃんが「何か飲みますか?」って鈴を転がしたような可愛い声で聞いてくれるのに…。
今日は部活がある日で、頑張り屋な月子ちゃんは夢中で自主練に励んでるんだろうな。
まぁ今日は仕事少ないし、ミーティングがあるわけでもないしね。


「ちぇー、じゃあ気分転換に何か買ってくる。一樹、財布寄越せ」
「ぬいぬいの奢りか!?俺はココアがいいのだ!」
「待て、誰も俺が奢るとは…」
「僕はストレートティーでお願いします」
「おいいぃぃ!?」


嘆く一樹の財布を片手に、一樹は?と聞くと微糖のコーヒーと返ってきたのを聞いて、私は購買へ向かった。



***



「あ、名前先輩!」


む、この可愛らしい声は…!


「月子ちゃん!部活終わり?」
「はい!あの、遅くなってしまって…」
「今日は何も無いんだから大丈夫。それよりも無理しちゃ駄目だよ」


分かってますよっ、なんてふにゃっと笑う月子ちゃんは可愛いなぁと思う。
男子が骨抜きになるのも分かる。


「名前先輩は何してたんですか?」
「ん?一樹の財布をパクって飲み物でも買いに行こうかと思って。月子ちゃんは何がいい?」
「えっ…で、でも……」


あ、月子ちゃんが一樹のこと考えてる。
きっと優しい彼女は一樹に断らなくていいのかな、って悩んでるんだろうなぁ。
一樹のことなんて気にしなくていいのに。ていうか、


「私と2人っきりなのに、一樹のこと考えるのやだなぁ…」
「えぇ!?そ、そんなこと…」


月子ちゃんの手をキュッと握ったら顔を真っ赤にしてしまった。
女同士だったらこんな顔はしない。だって私達は恋人同士だもの。


「かわいーね」


ちゅっと効果音付きで頬に唇を寄せれば耳まで真っ赤っか。
茹でだこになってしまった彼女の手を引きながら、やっぱり飲み物を買うのは止めようと思った。
正確に言うと、私のだけ、ね。


「ね、月子ちゃん。やっぱり飲み物買わないから、生徒会室行ったら紅茶淹れてくれないかな?」
「はい、良いで…」
「私だけの為に、ね?」
「っ!!」


その後、頼まれた飲み物と私が買わなかった分とか言って、それ以上の沢山のお菓子を買った。
もちろん、月子ちゃんは私と…月子ちゃん自身にミルクティーを淹れてくれました。




とびっきり甘い愛を!
「名前先輩、どうぞ」
「ありがと月子ちゃん」
「…お前、よく月子の茶飲めるな」
「一樹死ね。このミルクティーには愛が溶け込んでるの。それに、」
「それに?」
「もっと甘く美味しくなる方法があるの」


熱いミルクティーを口に少量含んで温くなった頃に月子ちゃんへ口づけた。
一樹のアホ面、おもしろっ。
ざまーみろ!











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