happily ever after?
幸せは失ってようやく幸せと気づくって、誰かが言ってたよね。

それは小さな不幸だって。

僕も、失う前に気づけたならよかったのかもしれない。

この二年で、僕は何が出来た?

オーブでラクスや子供たちと過ごした?

違う。もっとその前。

正確に言うのなら、フレイが死んだその後は?

自分の無力さが悔しくて、それこそ呼吸と同じほど泣いた。

ああ、そうか。

だから涙は枯れてしまったのか。

ラクスがいるからと、寂しさを誤魔化すように寄り添ったのに。

気づいたら、やっぱりあの時は幸せだったと感じてしまう。

空を見上げて、星を眺める。

そこには、普段絶対に見ることのない巨大な異物が、刻一刻と近づいていた。

「キラ……」

ああ、ラクスも外に出てきたのか。僕がラクスに目をやる前に、僕に寄り添ってくる。

あまりにゆったりとした動作だったから、ラクスも僕のように寂しいのかもしれない。

僕はラクスに目をやることもせずに、空を見た。

きっとあの異物は落ちてくる。

処理するのはザフトかな。

ということは、あの異物はフレイの復讐なんだ。

あまりに変わってしまった僕に、結果としてフレイから僕を奪ったラクスに、自分を殺した戦争に──世界そのものも、彼女は憎んでいたかもしれない。

だから二年前は、幸せだったんだ。

フレイが欠けた今は、小さな不幸なんだ。

「ラクス」

僕はラクスの肩を抱いた。ラクスも僕に体重を任せてくる。でもどちらかというと、僕がラクスに支えられていた。

僕はどうしたらいいんだろう。

世界で一番愛した人に、世界で一番恨まれて。

聖人になれない僕は悲しさを感じ、願いをなくした亡者のように、か細い藁にでもすがりたくなる。






僕がフレイを忘れて、ラクスを愛することができたなら、どんなにいいだろう。

僕は死刑囚のように、膝から崩れ落ちた。


happily ever after
『幸せはいつだって失ってはじめて
 幸せって気づく大切なコト』






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しょこたんの隠れた名曲より。
この歌好きだ!


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