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瑛で7つのお題【瑛誕企画】
5.海と空と君と
晴れ渡る空。


青い海。


心地いい潮風。


…あぁ、最高のシチュエーションだ。やっぱいいな、夏は。


「海だぁぁぁー!!」

甲高い叫び声と共に、バシャバシャと水しぶきを飛ばしながら俺を横切る奴がいる。

…はぁ。一瞬で気分ぶち壊しだ。

折角久々に海へ来たんだ。少しくらい浸らせてくれてもいいだろ?


「お前なぁ…少し落ち着けよ。ガキじゃないんだから」

「だって、久しぶりの海なんだもん〜!早く泳ごうよ!!」

そう言って渚は楽しそうに、海の水を俺に向かってぶっかける。

「つめたっ!お前〜…そんなにはしゃぐと溺れるぞ」

「大丈夫〜!もう、佐伯くんも泳ごうよ」

本当に子供みたいに、はしゃぐ渚。俺の注意も聞かずにすいすいと気持ちよさそうに泳いでいる。

ったく…こういう子供っぽいとこはいつまでたっても変わらないな。

まぁ…可愛いからいいけど。

…それにしても、あいつ。

こうやって泳いでるとこ見ると本当に…


「人魚…」


「え?なに?」


…やば。思わず考えてる言葉が口から出てしまった。はぁ…暑さで頭やられのかな、俺。

「…いや、何でもない」

「変な佐伯くん。ね、一緒に泳ごう」

そう言って、俺の手を取りにこにこと笑う渚。

…あぁ、本当に変かもしれない俺。

いつも以上にお前の事を綺麗だとか、可愛いとか思ってしまうなんて。

絶対どうかしてる。

「あれ、どうしたの?顔真っ赤だよ?」

「ウルサイ。…ちょっと暑いだけだ」

キラキラと太陽の光に反射されて、眩しいけれど。

それでも、目を離す事ができない。

なぁ、やっぱりお前は…

「佐伯…くん?」

「あんまり沖まで行くな。…ここにいろよ」

無意識に、握る手が強くなる。

お前がもし人魚なら、やっぱり俺を置いて何処かに行ってしまうのか?

それなら、俺はこの手を一生離さない。


…お前は、俺だけの人魚だから。

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