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惚れた弱み
「また電話?」
友達と飲んでいて気分がよかったので、付き合って1ヵ月の彼氏に電話してみたらそう言われた。
彼は電話が苦手だから、彼の反応は仕方のないことなのかもしれない。悪気もないのかもしれない。
けどね、腹が立ったの。物凄く。

電話帳を削除しました。
画面に表示された文字を確認して、携帯を閉じた。
今はちょうど夏休み。私が連絡を入れなければ、私たちは休みが明けるまで会うことはないだろう。きっと私たちは終わりだ。

ピンポン、と家のチャイムが鳴った。
両親は仕事だからこの家には、あたししかいない。でも今は出る気分じゃないから居留守してやろうか、そう思ってるのに再びチャイムがなる。
仕方なく玄関に向かい、ドアを開けると、そこにいたのは彼だった。

「な、なんで?」
「なんでって、覚えてないの?昨日の電話で君が言ったんだよ?」
「覚えてない・・・。とりあえず上がって。」

リビングに通し、ソファに並んで座っていると隣から溜息が聞こえた。

絶対ワザとだ。
「なんで記憶飛ぶまで飲むかな。」
「ごめん。」
会話が途切れる。隣を覗き見ると、面倒くさそうにテレビを見てた。
「面倒くさがり屋のくせに、よくあたしの家まで来れたよね。」
結構遠いのに。そう言おうとしたら、彼がだるそうに目線をこっちに向けた。
「だって来いって言うから。」
厭味ったらしい口調。つい黙ってしまった。

「昨日、男もいたんじゃないの?」
沈黙を破ったのは、珍しくも彼。
「いた、よ?」
気にしているのだろうか。普段はあたしが誰とどこで遊ぼうと気にもしないくせに。
「気に、してる?」
「別に」
短くそう切り捨て、顔を背ける。なんかこの反応は、この珍しい反応は、期待してもいいのだろうか。

「りょーおーたっ」「なにー」
表情が緩む。愛おしくなって抱きついた。
「ごめんね。」
「別にいいけど。・・・俺、気ぃ小さいからあんまり心配させないで」

返事の代わりにさっきよりも少し強く抱きついた。
このにやけた顔が見られないように。



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あきゅろす。
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