愛しのあなた
かっこいい、かっこよすぎる。
愛しのあなた。
我が理系クラスにはオタク臭がする男共がたくさんいる。
どう頑張ってもこのクラスには溶け込めない、むしろ溶け込みたくもない。
でも、そんな中、唯一の癒しが彼。水嶋君。
「言っとくけど、あいつ、オタクだぞ。」
あたしの今にも溢れそうなこの気持ちを田中に伝えると衝撃的な一言が返ってきた。
「オ、オタクなの?」田中の話によると、水嶋君はアキバ通いのアニメオタクらしい。いつも話しててもそんな感じしないのに。
「もったいない。」
「失礼なやつ。つか、祐介って彼女いなかったっけ?」
「祐介って誰だよ。」
「水嶋だよ!お前本当に好きなのかよ!?」
「あ、実は知ってた。」
「嘘つけ!本当にお前は、」
そう言いかけて、右手で額を覆い、大きく溜息をついた。
「何さ。」軽く睨めつける。あくまでも軽く。可愛く見える程度に。
あいつが視線をこっちに向けて笑った。呆れたように、優しい表情で。
「別に、ま、いっか。飽きなくて楽しいし。」
あぁ、駄目だ。
今回のこの恋もきっと実らないだろう。
愛しい、愛しすぎるの。
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