ハローウィン2013
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パーティーが始まって一時間たった頃、媚を売り妻子が居るにも関わらず腕に絡み付いてくる女共に聖夜は疲れきっていた。
今もこれでもかと谷間を強調させたマーメイドドレスに身を包み甘ったるい香水をつけた女に腕をとられていた。
聖夜「…腕を離してもらえませんか?」
聖夜の言葉にも赤い口紅を塗った口を笑みに変えてギラギラと欲深い目を向けていた。
女「えぇ。今日も奥様は来られないのでしょう?どうせなら甘く幸せな時間を楽しみませんか?」
妻が居なければ何を言っても許されると思っているのか。堂々と誘いをかけてくる女に冷たい視線を向けていた。
その時、離れた入り口の方でザワザワと騒がしくなり視線を移した。
そこには地毛の長いパーマをかけた金髪をフワフワにセットをし小さな尖り帽子の飾りをつけて、黒のミニドレスに黒のポンチョを羽織り、黒と白のニーハイと黒のショートブーツを履いた魔女っ子の綺麗でいて可愛いらしい雪と、雪とお揃いの小さな尖り帽子に、白シャツに黒の蝶ネクタイにポンチョをつけて、黒のショウトパンツに黒ブーツを履いた可愛いらしい魔法使いの冬夜がいた。
雪の手を引くのは全で、全の組は極道だけでなくフロント業でも顔が広いため全が連れている二人は注目を集めていた。
女「獅子王路様が誰かをエスコートするなんて…。」
腕に絡み付いている女が雪に嫉妬の視線を送るが、全達は真っ直ぐ此方に向かってきている事に気付き女は動揺していた。
そして、目の前で全達は足を止めたことで周囲もじっと見つめていた。
冬夜「パパ?何してるの?
何でママ以外の女の人がパパに抱きついてるの??」
冬夜がチラリと女を見て疑問を投げつけたら、周囲で見ていたものも腕に絡み付いている女も驚いたように目を見開いた。
聖夜「何でだろうね?俺には雪と冬夜が居ることは周知の事実なのに良い迷惑だよ。」
そこで、聖夜の冷たい視線にやっと気付いた女はそろりと腕を離した。
だが、この注目されている場で恥をかかされたと困ったように笑っている雪を睨み付けた。
女「今まで姿を現さなかったのに!
なんで女でもないあんたが、その立場にいるのよ!!」
女の醜い叫びに聖夜と全は睨み付けた。
直ぐに春と夏が警備を呼んで女を連れ出すが、ザワザワと周りは雪を見ながら話していた。
雪はそっと小さいながらも暖かな冬夜の手と聖夜の大きな手を握り、ニコリと笑った。
雪「春、夏。マイクを借りれるかな?」
雪の言葉に双子は頷いて壇上に案内した。
雪「今晩わ。皇雪です。
今の騒ぎに関してですが、一言申し上げるとしたら、私は皇財閥に嫁いだわけでなく聖夜さんに嫁いだのです。
そして、冬夜も皇財閥の息子で無く私と聖夜さんの息子です。
私と冬夜にとってみれば皇財閥の名前は二の次なのです。
聖夜さんは結婚をして私と冬夜をとても愛してくれて大切にしてくれています。
そんな聖夜さんの気持ちをパーティーに出ないと言う事で、否定される謂れはありません。
聖夜さんの事を皇財閥や顔だけで近付くのも辞めて頂きたい。
彼自身を蔑ろに近付く者が居れば、私と冬夜が許しませんので覚えていてくださいね。」
言い終えてニッコリと綺麗な笑みを浮かべた雪は有無を言わせない雰囲気を纏っていた。
そんな雪をうっとりと見つめる聖夜と尊敬の眼差しを贈る冬夜を見て、誰もがこの家族に逆らってはいけないと心から思うのだった。
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