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愛しい人
☆☆☆

「俺と矢田は確かに馬鹿だ。

だけどな、そんだけ純が大切なんだよ。
矢田だって本気でお前を愛してた。お前以外の奴に抱かれたことがどうしても許せなかったんだ。

なのに、彼奴は原因を作った俺を恨めばいいのに自分だけで背負いやがった。

お前が惚れただけの女だよ。

敵わねぇ。」

「…っ当たり、めぇだ。って、ヒック…っお前やっぱり、春日っの事好、きなんじゃねぇの?」

後ろから抱き締められた腕の中から後ろを振り向けば、菖蒲は顔を歪めた。

「…俺が…

俺が、昔から好きなのは純…お前だ。」

「はっ?」

流れていた涙もピタリと止まるほど驚いた。

そんな俺に菖蒲は抱き締める腕に力を入れて、でも顔は困ったように笑ってた。

「お前が鈍いだけだ。
俺達のツレは皆気付いていた。

勿論、矢田もだ。

彼奴には何度も釘を刺されたぐらいだ。」

俺以外の人間が知ってた菖蒲の気持ち。
俺は顔が熱くなるのを感じた。

いや、だって優しくて強くて女だけじゃなく男でさえ落とすイケメンだ。
そんな男に長年好きだったと言われてみろ!照れない奴はいないだろーが!!

そんな俺に菖蒲はニヤリと笑ってくる。
えぇ。それはもうフェロモンを惜しみ無く撒き散らしながらな!

「その反応は以外だったな。
真っ青になって嫌がられると思っていたんだがな。」

その言葉に怒りが混み上がる。

「ふざけんな。
俺の中で菖蒲は菖蒲なんだよ。
ずっと俺と春日を守ってくれて、無駄にイケメンで無駄に頭良くて、無駄に優しい。
告白されたからって嫌がられるとかあり得ねぇだろ。
お前が生半可な気持ちで俺を思ってんじゃねぇのと一緒だ。

俺だって生半可な気持ちでお前を大切に思ってる訳じゃねぇんだよ。」

俺の言葉に今度は菖蒲が驚いたようだった。
目をこれでもかって見開いて固まってる。

そんな菖蒲に苦笑してしまう。

だからお前達は俺をなめてんのか。

春日は俺に相談することも打ち明けることもなく、一人で背負い込んで逝っちまった。

菖蒲も俺に顔向け出来ねぇとか勝手な理由で姿を消していたんだ。

俺はお前達の子供じゃねぇんだよ。

俺は固まってる菖蒲の頭を小突いた。

「…もう、姿を消すんじゃねぇよ。」

その瞬間、やっと現実に戻ってきた菖蒲は俺の肩に顔を埋めてこれでもかってぐらいの力で抱き締めてきた。

菖蒲の体が小刻みに震えてるのは見ない振りをしてやった。


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