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愛しい人
☆☆☆☆☆

菖蒲は何を伝えたんだろう。

ボーッと眺めていれば、伝え終わったのか菖蒲が立ち上がった。

俺は178pと高めの身長なんだが、菖蒲は190p近い身長を持っているため自然と見上げてしまう。

本当。羨ましいほどのイケメンだ。

「純はこれから予定でもあるか?」

菖蒲の言葉に俺は現実に戻ってきた。

「いや。ねーな。
まぁ、明日は定休日だしどっかで飲んで帰るわ。」

「それなら俺に付き合えよ。」

菖蒲とは6年ぶりだしな。
俺も断る理由も無いので笑ってうなずく。

「おう。菖蒲車は?」

「待たせてある。
純もこっちの車乗れよ。お前の車は店の駐車場に止めさせとくから。」

「わりぃな。」

俺の言葉に菖蒲は笑みだけで答えて電話をかけはじめた。
なにこのイケメン。

菖蒲は昔からそうだった。
俺の事を優先的に考えて動いてくれる。

不良やってた時も本当なら菖蒲のほうが総長向きなのに、俺をそこにおき副総長として俺を支えてくれた。

春日を守るためにも下の奴等を春日に気付かれないように配置してくれたり、俺の将来の相談にも乗ってくれたりした。

唯一無二の相棒。

俺はずっとそう思っていて、春日の葬式以降連絡もとれなくなり今日まで菖蒲が姿を表すことがなかった6年は長かった。

愛してた女と親友を同時に失った思いだった。




菖蒲は春日が好きだったんだろうか…
この6年ずっと心に引っ掛かっていた。

この後聞けそうだったら聞いてみるか。

そう思いながら、電話で話す美丈夫を眺めて空を見た。



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