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愛しい人
☆☆☆☆

雨が体に打ち付けなくなったのを感じて目を開く。

振り返ればブランドものだと一目でわかるブラックスーツを雨に濡らしながら俺を見下ろす懐かしい漆黒の瞳と目があった。

「久しぶりだな。菖蒲。」

俺の挨拶に眉をあげるだけで答える男は、女にも男にもモテる美丈夫、高校からのダチであり今や関東最大の龍神会組長にあたる、桐山菖蒲(キリヤマショウブ)である。

菖蒲とは春日の葬式以来の再会で、6年ぶりだった。

お互いに良い歳だが…

「お前…相変わらずイケメンだな。」

思わず声に出してしまうほどイケメンだ。

俺の突拍子もない言葉に菖蒲は「クククッ」と喉の奥で押し殺したように笑って俺を見た。

「純も相変わらずだな。」

菖蒲の言葉には首を傾げた。

「そうか?俺は年を感じるよ。」

そうとだけ返して立ち上がりグッと背筋を伸ばした。

俺が立ち上がると菖蒲は俺に傘を渡して高級なスーツが汚れるのも気にも止めずに膝をついて春日の墓に手を合わせた。

俺は傘を持ったまま黙って菖蒲の背中を見つめた。




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