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story
融解のち、誘拐

少々下品です。

もしリオンがアイスを食べれていたら

















「はい、リオン。買ってきたよ」

手渡された物を掴んだ右手がひやりと冷えた。仄かな甘い匂いと共に、見上げた時のスタンの笑顔。限りなく嬉しい環境であることは確か。

「小さい子ども達もさ、凄い美味しそうに食べてたから、きっとリオンも気に入ると思うんだ」

「お前は町のガキと僕を一緒にする気か」


スタンがはっとしてリオンに向き直ると、思った通り此方を睨んでいたが口から出てしまったものはどうしようもない。むしろ本音が出た。
ふんと視線を逸らしてリオンはアイスを口に含み、冷たさと甘さを堪能する。やはり旨い。


「どう、美味しい?」

リオンの視界にスタンが入ってきて丁度太陽と重なり日差しが遮られた。暑さで溶け始めているスタンの左手のアイスを見て、お前も食えばわかるだろうと言いかけて止めた。

「ああ、とても美味しいぞ」

ほら。とリオンは自分が食べていたアイスをスタンの半開きの口の中目掛けて突っ込んだ。

「んがっ!」

逃げようとするスタンの身体を右手を掴んで制止する。左手はアイスを持っている為、突っ込んでいるアイスを退けようと必死になっているが力が入っていない。

「どうした、ちゃんと味わえ。歯は立てるなよアイスは舐めて食べるものだ」

「んんん!!〜〜〜ぁがっ」


アイスを更に深く押し込み捻り回すと、次第にスタンの口から溶けた液体が伝い落ちて地面に染み込む。苦しそうなスタンの目から涙が滲んできたみたいだがお構い無し。

「これくらいの太さならなんてことないだろう。いつもみたいに舐めてみろ」

「がはっ!」

漸くリオンはスタンの手を離して自由を与えた。逃げた反動でスタンは地面に倒れ込む。咳き込む口からは溶けたアイスがぼたぼたと滴っている。

「やはりバニラの方が良かったな、雰囲気的に」

「〜っ何、すんだよ!冷たっ口ん中凄い冷たい!」

今度はぎらりとスタンがリオンを睨む。こんな事される理由がわからない。しかしリオンはそのまま見下ろしながら、スタンの口の中暴れていたアイスを舐めた。

「そうか冷たいか。では次はもっと太くて熱いものをくわえさせてやろう」

「はぁ?」

「心配するな。ちゃんと喉奥まで温める様に飲み下させてやる」

「え、ちょっと」

溶けかけたアイス片手にリオンはスタンの右腕を掴みどこかの物陰に引き摺って行った。その後スタンとリオン両者とも暫く仲間達とはぐれていたが、行き先を記したアイスの液体はもうとうに蒸発して大気の中で溶け合っていた。











>>END

リオンは子ども扱いされた事に結構ご立腹だったみたいです。


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あきゅろす。
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