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Colorfulカラフル
空に恋して6
全中試合になる一ヶ月頃、俺は体育館に急いでいた。

(うぅぅぅ〜急遽モデルの仕事とかっ!赤司っちに練習倍にされるっすぅぅぅ!!!!)


ふと、目の端に人影が見えた様な気がした。立ち止まるが誰もいない。

(気のせいっすかね?)

耳を澄ますと、声が微かにした様な気がしたので渡り廊下から外に出て、声がした方向に行くと…


「今さら、辞めた者が何の用だ」

(赤司っちの声!?)

こっそり覗けば、そこには赤司と数人の…あれは確かバスケ部の3年つまり自分達と同級だが、スタメンにはなれなかった2軍の者たちだ。



「赤司…お前達キセキの世代がいたせいで、俺達はこの3年間一度も公式試合には出る事が出来なかった」
(……勘違い野郎共か……)
部員数が多い、帝光では辞めていく奴らも多い。そんな奴らの中には、こうして理不尽な恨みをぶつけてくる者がいるのだ。赤司っちは何も言わず黙って聞いていた。


「それが何だ。逆恨みか?お前達の力が、俺達に届かなかったと言うだけだろう。それとも、お前達を出して試合に負けろというのか?」

元・部員達の暴言が終わった後、赤司っちは一気に核心につくような事をいった。彼らの顔色が変わる。
その中の一人は、顔を真っ赤にし、

「赤司っ!!!俺達はお前のそういう所が嫌だったんだっ!!!辞めたってお前は表情一つ変えやしない…。お前にとって、俺達はメンバーじゃなくただの要らない駒だったんだろうっ!!!」

そう言ったかと思うと、赤司に殴りかかろうとした。避けると思ったが、赤司は動かない。


(ちょっ?!)


俺は長い足を最大限に使って、ギリギリ相手と赤司っちの間に入った。もちろん、相手の拳は俺の手で押さえた。


「何やってんだよっ!!」

「…涼太」
「っ黄瀬!!」


俺は相手を見下ろしながら、

「赤司っちの言う通りだ。厳しい条件の元で練習してたのは俺達も同じ。自分自身に負けた奴が帝光(ここ)でスタメンなんか出来る訳ねぇーだろ」

「っく………っ!!」

「因みに、あんたの会話録音させてもらったから♪今度変な真似したら全校に流すけど?」

ワザと高圧的な表情で、脅してやった。録音のあたりから連中の顔は青くなって、何も言えず逃げていった。


「赤司っち、何で避けようとしなかったんすか」

「別に、あいつらの動きなんて分かっていた。ギリギリで避ける予定がお前が入ってきたんだ」

「はぁぁぁ〜何すかそれ。とりあえず、怪我してないみたいっすね」

「一応、礼を言っておこう。……それにしても部活に完全に遅刻だな。俺も涼太も」

「げぇぇっ!!!……あっでも赤司っちも遅刻だから、練習倍になんないっす……よね?」


チラッと赤司っちの目を見ると
「いや、遅刻は遅刻だ。ただし二人共だな」

「へっ??」

「理由はどうあれ、主将である俺も遅刻なのには変わりない」
そう言いながら、赤司っちは体育館に向かっていく。俺も慌てて隣に並ぶ。

「で、でも赤司っちは遅刻じゃなくてもいいんじゃ…」
「そういう事をすれば、俺達は余計ああいう奴らにナメられる」


他人にも厳しいけど、自分にはもっと厳しい赤司。だからここまでついてきたのだけど。

「分かったっす!じゃあ、今日は赤司っちと仲良く練習倍っすね♪」


そう言うと、赤司っちは止まり俺を見上げて冷めた目つきで、

「涼太………お前Mか?」
と聞いてきた。

「違うっすぅぅぅよぉぉぉぉ〜!!???」
(なんで、赤司っちの頭の中でそんな俺のイメージあるんすかっ?!)



その後、部活に遅れてきた俺達は適当な理由を監督に言い、二人してその日は練習メニュー倍になった……。


(さすがに…キツイっす……)

俺が床とお友達になっていると、顔に冷たい物が当てられた。ビックリして、目を開けるとそこには、スポドリを持った黒子っちの姿。


「お疲れ様です。黄瀬くん」
「く、くろこっち!!…ありがとうっす」

疲れてるせいで、上手く笑えないが何とか体を起こす。スポドリを受けとって、喉に流しこめば幾分スッキリとする。


「黄瀬くんはともかく、赤司くんが遅刻なんて珍しいですよね。何かあったんでしょうか?」
「えっ?…いや〜俺も途中で会っただけだから、分かんないっす」
(やっぱり言わない方がいいよな?でも黒子っち、何か感づいてそう…;;)

黒子っちは、けっこう鋭いタイプなのだ。でも赤司に口止めされてるので、死んでも言う訳にはいかない。

俺が何も言わないと感じたのか、黒子っちは

「…そうですか、黄瀬くん倒れない様に帰って下さいね」

「ありがとう、黒子っち。全中ももうすぐっすからね!」

「…………そうですね。…………黄瀬くん……」

「んっ?」

「いえ、何でもないです。気にしないで下さい」
と言って緑間っち達の方へ行ってしまった。


赤司っちは椅子に座ってはいるものの、疲れた様子は余り見せずに桃っちと話をしていた。

(さすが、赤司っち…自分で作ったメニューとはいえ、息乱れてないっすね…)


何だか、ちょっと悔しかった。
(俺もまだまだっす。もう少し体力作りしておこう……)





久々更新ですみません!空恋6でございます!
赤様ピンチ!な話にしようと思ったのに全然ピンチじゃありませんでした(笑)
本誌の方も白熱していますね。ではではまた〜

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あきゅろす。
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