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歌うことが存在意義です。




津軽とサイケは某歌うロイド。
パロディです。









「津軽津軽津軽ー!」
「……うぜえええ」
「ねえねえ、これさ、新しい音楽かな?俺達どっちが歌うのかな?どっちもいけそうだよね!」

電子の海に沈みながら俺たちは浮遊感漂う疑似世界で話していた。
流れるBGMはマスターである人物が作っているのだろう。先ほどから試行錯誤しているようだが、完成間近のようだ。

「この歌いいね、俺の高音でもいけるし、津軽の低音でもいけそうだよ」
「………そうだな」

煙管を吹かしながらぼんやりと海を眺める。ここは俺の部屋である。
有名な歌をカバーしてるみたいで俺にあわせてあるらしい。

しかし。
隣のサイケが先ほどから五月蠅いのでゆっくり出来てない。

「いい加減、部屋から出ていけ」
「やだ。さみしいし、呼ばれないし暇だもん」

俺は静かにしていたいだけなんだよ。黙ってるなら傍に居てもいいが、さっきから喋ってばかりだ。

「あんまうっせえと、手前の音壊すからな」

音、すなわち俺たちのかなめである声だ。音声プログラムとは言え、元である俺たちを壊すと声すら無くなり存在の価値が失われる。

「津軽になら壊されてもいいよ?」

にこ、と偽りの無い笑顔で言われ、不覚にも目を見開いた。
こいつ……、と思いながらため息をついた。

「……面倒見ろ、とかは却下な」
「えー?なんでわかったの?」

手前が思うことなら尚更わかるわ。
キセルを蒸しながら電子の海を眺める。
久しぶりに歌ってみるか。

「黙らねえと、追い出すぞ」

口元のみに笑みを浮かべ、煙を燻らせながら立ち上がる。

「あ、あ、」

息を吸い込む。
よし。

歌うか。
歌うこそが、俺達の存在意義だから。




★終わり
101216
中途半端過ぎる…




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あきゅろす。
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