雨だから、晴れない一日。3
つ、と背骨のラインを撫でられた。少し浮いているであろう骨をなぞるように。
今日のシズちゃん、何か凄いフェロモン出てない…?!
可笑しくない?怒らないし、風呂一緒に入ってくれるし、なんなの?
油断させといて殺すつもりなのか…?
「臨也」
「…ぁ、」
小さく声を洩らしてしまった。あああ、今のは気持ち悪いって!
引かれた!絶対に引かれた!
混乱している矢先、シズちゃんの手が下へと下がっているのに気付かなかった。
「…!!」
足の付け根辺りをなぞられる。ギリギリの触り方にビクついてしまう。
片手は腹部の前で、片手は付け根の方に。ああ、これだとやばい。
「あ、!」
なぞるように触れていた足の付け根から俺の下半身へと触れた。
緩く立ち上がっていた自身に俺は羞恥に顔が染まる。シズちゃんだから、こんな。
「勃ってる」
「…!!!」
後ろから耳元で囁くのは卑怯だと思う。ただでさえ、風呂場で素肌を晒しているのだ、遅かれ早かれシズちゃんが気付くのは時間の問題。
「は、」
鼻で笑われた気がする。そりゃそうだろう、俺はシズちゃんに触られて勃っている。変態といわれても可笑しくない。
なんだろう、これでシズちゃんじゃなかった萎えるどころか相手を殺す勢いだ。
捕まりはしない。社会的に殺してあげるよホントに。
………嗚呼、痛いね。この時点で痛いよ。どうしようもない!
「臨也」
「…う、なに」
少し強めに握られたソレに呻くと、優しく撫でられた。やばいって。
「手前、」
「あ、!」
もどかしい触り方に俺はびくびくとしてしまった。こんな痴態、シズちゃんじゃなければ、見せることもないのに。
「臨也」
先ほどからどうしてこんなにも愛しく囁くように言うのだろうか。
勘違いしてしまいそうな、俺の愚かな思考に頭を振った。間違いだ、シズちゃんは俺のことを嫌っているのだから、
自分で言っていて空しくなるなんて。もう嫌だ。
どうせなら、これで最後にしてもらおう。そうだ、そうしよう。
言って、しまえばいい。
そうすれば俺は痛い思いをしないで新宿で生きていける。
そこまで考えて思考が止まった。いや、そんなわけにはいかない。
気づかない内に涙が零れていたらしい。嗚呼、情け無い。普段の俺ならまずありえないことだ。
好きになって、ごめんなさい。もう我慢出来ない。この気持ちに蓋をするのは疲れました。
伝えよう。もう、無理だ。言いたい。楽にさせて。
「お願いだから、」
俺をこれ以上。
「好きだ」
惚れさせるのは止めて。
泣きながらキスしたのはこれが初めて、だよ。
〜100714
やっと完成、不完全燃焼とかね。
あ、裏が長くなって入らなくなったとかそんな。
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