雨だから、晴れない一日。2
少し、期待してしまった。
そんな断り方じゃあ、駄目だよ。
普通、一緒にって言わないでしょう…?
馬鹿みたいな自分に少し涙が出た。あー、やばい。寒いからって言い訳しよう。
「ほら、シズちゃんだって寒いでしょ、早く」
入ろう、と言う前にシズちゃんに服を掴まれた。え、まさか投げたりしないよね?
べったりと張り付いていたコートを剥がされ、一枚しか着てないインナーにまで手が伸びるので呆然と見ていた。
「手前、その服脱ぎにくいだろ」
「え、…や、そうでもない」
どうしたんだろう。何か凄いお世話されてるんだけど。
アレか、シズちゃん意外に彼女とかは大事にするタイプだもんね、うん。
………物凄く痛い。どうしよう。
心が泣きそうになった。
うつむいた俺にシズちゃんが先に入るように促す。
嗚呼、やばい助かった。と言うか流石に下は自分で脱ぐし、うん。
そう広くも無い浴槽にお湯を溜めながらぼんやりと見ていた。
どうせ叶わないんだから、シズちゃんのハジメテくらいは奪っちゃおうかなー。なんて事を考えていると扉が開く。
「なんだ、手前入ってなかったんか」
「ん、まあ俺先に身体洗って入るタイプだし」
「ふーん」
流石に、先に入るなんてそんな恥ずかしいこと出来ないし。
入るってことは、もしかしたらシズちゃんも入ってくるってことであって、……駄目だ、頭沸いてる俺。
「おら、入れよ寒ィだろ」
「え」
片腕を掴まれてかがんでいた体を持ち上げられ、後ろ抱きにされて一緒に浴槽へと浸かった。
……どうしたら、いいの。俺、ほんとにもう、心臓が痛いよ。
「冷てぇ」
……後ろ向きでよかった。正面なんか見られたら、絶対に笑われる。
「…臨也」
「………なに」
「黒ばっか着てるから焼けてねえんだよな」
「…!」
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