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雨だから、晴れない一日。

★雨が降る日。
微妙な裏要素。むしろ裏?














「…臨也くんよォ」
「なーに、シズちゃん」
「何でここに居んのかなァ?」
「この天気を見て俺が歩いていたら本当に馬鹿みたいじゃない。シズちゃんみたいに体が丈夫なわけじゃないの」
「お前遠回しに馬鹿にしてるだろ」
「と言うか、シズちゃんはこんな土砂降りの中で帰れるなら俺は鼻で笑ってあげるけど?」
「…黙ってろ、ノミ蟲」

ザァザァ、と降りしきる雨の中で俺たちはコンビニの前の狭い軒下に居た。
ここは他に利用者の邪魔になるのだが、この雨だ。ずぶぬれで中に入られるよりはマシなんだろう。
それと、俺たちがここに居るから、もあるだろうけど。
いやー、逃げたよね。早かったねえ。店員も多分奥に引っ込んでるよ。
雨が落ちていく。
バケツをひっくり返したような雨とはまさにこのことだよ。
まあ、この軒下に居ても多少は振り込むから濡れるんだけれども。
ぼんやりと見ていれば、静ちゃんがくしゃみをした。
ちら、と見ると少し寒いのか震えているようにも見えた。
まあ、その格好じゃあ寒いよねえ。俺はまだコートだからいいんだけど。
どうしようかな。これで電車に乗って帰るのも嫌だなあ。
かと言って新羅のとこに行くのも嫌だし…ドタチンとか居ないかな。
そんなこと考えていると、不意にシズちゃんが動いた。
雨の中、俺の手を握って走り出した。

…。
………え?!

いきなりのことで反応が遅れてしまった。と言うか、早い。

「ちょ、」

顔に雨が落ちてくるから口を開くと気持ち悪い。酸性雨の確立が高い雨を咥内に招くのはいただけない。
黙ってシズちゃんの手を少しだけ握った。

(恋してるみたいで、なんだか嫌だな)





「は、っは、」

息が、声が、何もかもが。
苦しかった。これでシズちゃんに何か投げられたら避けれないほどには。
橋ってたどり着いた先はシズちゃんが住んでいるボロアパート。まさか家に行かれるとは。

「あー、気持ち悪」

不意にシズちゃんが呟いたことにビクリと身体が震えてしまう。
何が?雨が?服が?…俺、が?
人を好きになると、たった一言でも一喜一憂してしまう自分が馬鹿みたいで笑える。
そのくらいに、シズちゃんのことが。

「臨也」
「…なに」
「お前先に風呂入れよ」
「…普通家主が先に入るんじゃあ」
「うっせ、さっさと」
「じゃあ、…一緒に入る?」
「馬鹿言うな、狭いんだから無理だっつの」




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