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伝う、伝われ、伝えたい。



★津軽サイケ
静臨+ツガサイ
静臨がツガサイのマスター。静サイ、ツガ臨って感じで。
津軽視点ぽい第三者視点。





「つがる」
「なんだ」
「あれ、」
「………」
「ますたーたちがまたけんかしてるよ」

津軽が溜息を吐いた。サイケは不思議そうに見ている。悪影響だ、とサイケの眼を覆いながらも津軽は静雄たちに声を掛ける。

「マスター」
「だから、シズちゃんが…!!…何、津軽」
「喧嘩ですか」
「シズちゃんが悪いんだから!俺は謝らないからね!」

マスターが怒っているのは、多分何時ものちょっとした嫉妬からだろう。
そう気になるなら天邪鬼にならなければいいのに。と言えば苦笑されて「もう治らない」と言われた。
どうやらマスターは高校からずっと片思いをしていて、ようやく両思いになったらしい。
それなのに、素直になれないのはもう意固地だといっていた。それはもう譲れないプライドだと。
…これを、人で言うならば不器用と言うのだろうか。

「だから、違うっつってんだろ、手前も同じじゃねえか」
「は、シズちゃん何言ってるの?俺は違うよ、シズちゃんだけなんだから」

喧嘩の内容は何か、なんて知らないけれど、サイケに悪影響だから早く仲直りをしてくれないだろうか。
津軽が口を開く。機械が気を使うなど、前代未聞だけれども。

「マスター、思ってることはちゃんといわないと、伝わりませんよ」
「………」
「津軽、手前…」
「ああ、サイケに悪影響ですよ」
「………」

津軽からサイケを引き寄せる。ぱちくりとした目が静雄を映す。それに静雄が少し考える。
軽いサイケを持ち上げ、子供を抱くような感じで腕に乗せる。それにサイケが喜ぶ。

「あー、……臨也」
「……なに」
「…悪かった。帰るわ、サイケ挨拶しろ」
「かえるの?つがる、ますたーさようなら」
「ああ、またな」
「………」

臨也は俯いて何も言わない。それを咎めるでもない静雄は津軽の方を軽く叩き、サイケが津軽に抱きつけるように支えていた。
サイケが津軽に抱きついてる姿を臨也が視界に入れる。それに何を動かされたか。

「おら、サイケいく…、」

どん、と衝撃がきた。静雄は腰元の黒い塊を見て、津軽へと視線を向ける。それに気付いた津軽がサイケを抱き上げ、サイケの口元に指を当てて部屋を出て行く。
機械に心があるならば、このことなのだろう。内心でお礼を言いながら、近くにあったソファに座るために臨也を力付くで引き剥がす。
そのまま正面から抱きかかえるようにしてソファへと座る。
首元に抱きつく臨也の髪を撫でてやる。サラサラとした触り心地に繰り返す行動。

「…………シズちゃん」
「ん」
「あのね」
「ん」

耳元で呟くように言う臨也に静雄は緩やかに返す。急かさないように。

「………シズちゃんは、サイケのこと、好き?」
「………そりゃ、な」
「………うん、俺も津軽好き」

何が言いたいんだ、なんていわないけれど。何を言いたいのだろうか。
自分でも驚くほどに切れることがない。これで怒れば話がややこしくなると分かっているから、だろうか。
何も言い合うばかりが付き合うということじゃない。これはこれで、もいいと思う。

「………勘違いしねえように、言っておく」
「…?」
「サイケへの好きと手前への好きは別モンだからよ、…なんだ、LIKEかLOVE…だ」

サイケへの好きは、マスターと呼ばれる可愛さと臨也と対で津軽を買ったときのある意味おそろいだから大切にしている。
臨也には津軽を、静雄にはサイケを。
それはお互いがお互いで選んで贈ったようなものだ。大事に決まってる。

「………うん、」

臨也が呟くように囁いてきた。
静雄がサイケを可愛がるから嫉妬した、津軽は俺に優しいけど、サイケが好きだから俺だけ取り残されたような感覚になった。
など、いつものコイツからは考えられないほどに弱りきった声音だった。
いつもの不遜な態度もいいけど、たまには素直に気持ちをぶつけてほしい。
そんなことを思っていた。

「………シズちゃん」
「なんだ」
「多分、俺、結構重いと思う、んだよね」

男のくせにね、なんて掠れた声で自重する臨也の首を後ろから掴む。
そのまま少しずつ力を入れていく。それに臨也が痛いと身体を揺らす。

「臨也」
「な、に」
「このまま手前を殺して俺が囲ってもいいんだが、そうしたら俺の相手が居なくなるだろ?最近考えてたんだ」

静雄が首へと込めていた力緩める。それに臨也が力を抜く。

「ブクロへ帰って来い、そして部屋探すぞ。あいつらも住めるようにしないと、だからな」
「…は?」
「手前が何処かの誰とも知らねえ奴と喋るのも腹が立つ。それなら目の届くところにおいておきたいと思うのは普通だよな?」

静雄が痕のついた臨也の首元を優しく撫でる。それに臨也が手を取り、頬へと近付ける。
擦り寄るように触れる臨也に体が熱を持つ。

「ふふ、シズちゃん」
「んだよ」
「出来るなら、シズちゃんに首輪付けたい、真っ黒な、ね」
「じゃあ手前は赤な」

お互いがお互いを縛れるなんて最高じゃないか。死んでも君のもの。

「シズちゃん」
「臨也」
「好き、俺がシズちゃんを愛してあげれるんだから」
「ああ」

俺が一番シズちゃんを知っているでしょう?君は俺のもの。

「臨也」
「なあに」
「今日泊まる」
「ん、ご飯何にしようか」

臨也が静雄の髪を触りながらもたれかかる。それを受け止める静雄は臨也の頭にキスをする。

いちゃいちゃし始めたマスターたちを保護者のような津軽の優しげな視線に気付かない二人であった。





おまけ(会話文のみ

「ねえ、つがる。ますたーたちはなかなおりした?」
「ああ、したみたいだ」
「これでおれたちもまたあそべるね」
「ああ」
「でも、つがる」
「なんだ」
「ますたーたちって、あれでしょう?なんだっけ、ことわざの…」
「お前、そんなこと習ったのか?」
「ううん、にゅーすでいってたよ」
「ふうん。多分、それは…」

夫婦喧嘩は犬も食わない、だろ。

終わり






100712
ツガサイにたぎってる田中です。
イラスト書いてみようかしら。




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あきゅろす。
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