こんな愛の形でも愛おしいと思えるくらいには。
★バカップル。甘。恋人設定。
金色に光る鈍い輝きが、窓辺でひっそりと寝息を立てていた。
こんなにもこの光景が似合う人間もなかなか居ないんじゃないかな。なんてぼんやりと思った。
起きないからぼんやりと眺めていた。変わらない健やかな寝顔。
殺し合いをしなくなり、恋人同士になってもう数年。
それこそ天変地異だと笑っていた友人達を思い出しながら、クッションに顎を乗せる。
穏やか過ぎる。懐かしい喧騒が昨日のように思い出せる。
だって、俺は、こんなにも君を愛するとは思っていなかった。
目を閉じて少し笑う。
甘くなった。俺も彼も。皆変わらないというけれど、俺たちは随分と変わってしまった。
そっと、目を開けるといつの間に起きたのか彼はこちらを見ていた。
にこ、と作り笑いでなく本当の笑顔を向ける。そうすれば、彼は俺に優しく笑いかけてくれることを知っているから。
「おはよう」
「…んー」
昼寝をしていた彼はまだ眠そうだ。そこは日当たりがいいからね。
でも、あんまり俺を放っておかないでよね。
「起きたなら、鎌ってよ」
誘うように俺が言うとぼんやりとした目線が絡む。ああ、好きだ。なんて馬鹿みたいに焦がれた。
手招きをする彼に近付く。窓辺に座っていた彼が俺に座るよう促し、足を動かしてくれた。
彼に凭れ掛かるように、正面から座り込む。眠そうに眼を擦る彼に笑う。
「眠いの?」
「んー」
くすくす笑うと彼は俺を抱きこむように凭れてきた。
俺の首筋に彼の鼻が当たる。眠いのか、全く喋らない。
穏やか過ぎる。ようやく慣れてきたこの心地よさ。どうしても離れがたい。
愛してしまえば、こんなにも心地いいのか。なんてはにかむ。
(嗚呼今なら一緒に殺してくれるなら、死んでも構わない)
「臨也」
「ん」
「お前は俺のもの」
「君も俺のもの」
心地良い独占欲は、静かに俺たちを引き込んでいく。
底なし沼のように、飽きることの無い貪欲な思いは冷めることを知らないように。
君と一緒なら、他の人間が死のうとも関係無い。
俺はもう、人でなく彼が好きなのだから。
ねえ、シズちゃん?
100330
溺愛を意識したら大分馬鹿ップルに…。そして重い。
このくらいの仲良しにも萌える。
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