恋と呼ぶには、深すぎる感情。2
★シズちゃん出ません。独白みたいな。
加筆しましたすみません。
一ヶ月。
池袋にも外にも出なくなって一ヶ月になる。
仕事はちゃんとしてる。
しないと、文句を言う助手がいるからね。
それでも外には出ていないけど。だって、
会いたくないから。
波江に文句を言われながらも、デスクワーク中心に作業をしていた俺って偉いよ、うん。
つけっぱなしのパソコンの画面には、金髪の青年がタバコに火を付けて、ゆるりと吸っていた。
………ストーカーみたい。
我ながら思うよ、全く。
他人から見たならば、いや、波江は確実に俺に言う。
君が溺愛してる子と同じくらいには、危ない行為なんだけど。
池袋の一部のカメラの映像をパソコンに繋げてあるんだよね。
ばれたらやばい。
ばれないけど。
「今日も、待ち人来たらず」
ぽつ、と画面を見ながら独り言を零した。
波江は早々に帰宅。
何でも、残業したくないのと鬱陶しいそうだ。
その分給料やってるのに、欲が無いよねえ。
ま、欲しいのは弟くんか。
さすがにあげれないし。
雇い主に文句言う助手って、そう居ないよね。
金髪が首を傾けて、空に紫煙を吐く。
本当に誰かを待ってるようだ。
ガードレールに座っているけど、そこ池袋駅の目の前だし。
駅から出てくる人たちを見ているから、多分待ってる。
(誰を?)
引き込もってから、早くも一ヶ月。
俺は自分が持つ情報をフルに使おうと、一週間目からシズちゃんの動向を探っている。
だって、気になるから。
あの、喧嘩人形が惚れた相手。
最初は、好奇心からの興味本意だったのに。
何時からか、嫉妬に変わっていたことに、驚いた。
目をつぶり、自分を笑う。
ストーカーな情報屋とか、笑えないよ。
更に嫉妬してるとか。
ああ、益々笑えない!
机に顔を伏せる。紙が擦れる音がする。
多分グシャグシャになってる。後で直そう。
身体がバキバキ。動いて無いから。
やる気はあるけど、さ。何かもう怠い。
「シズちゃんのばーか」
好きだなんて、自覚したくなかった。
こんな気持ちになるくらいなら。
★
気付いたら、そのままの体勢で寝ていたようだった。
更に身体が軋む。痛い。
「…………波江?」
しん、とした部屋の静けさ。
あれ、波江が居ない。今日休みだっけ?
携帯………、あれ。
俺、どこやったっけ。
パソコンのメールで事足りるから、記憶にない。
仕方ない。
予備で鳴らして探そう。
これで鳴らなかったら多分充電切れてる。
うわ、見たくないなあ。
メールとか溜まってそうだ。
机の中から使ってない携帯を取り出す。
解約はしてないから、まだ使えるはずだ。
電源を入れながら考える。
確か、イロイロと取り引きを携帯でしてた気がする。
どうしようかな、見たくない。
電源がついたところで、本来の携帯番号へと掛ける。
しかし、直ぐさま無機質なアナウンスが流れる。
完璧に電源切れてる。
溜息を付きながら立ち上がり、探し始める。
意外にも早く見つかる。
まあ、コートの中にいれっぱなしはよくするけどね。
本来の携帯を持ちながら充電器に挿す。
うーん、見たくないな。
電源を入れるため長押しをすると、明るくなる画面。
起動した携帯を操作し、新着メールを見ようとして指が止まる。
着歴、100件越え………?
何これ、新手の嫌がらせ?
日にち一週間前だし、充電が切れるまで掛かってたってこと?
「……誰」
俺に電話するのって、新羅くらいだよね?
いやでも出ないなら出ないで連絡もしない奴だからな。
履歴を見るのが怖くて電源ボタンで消した。
新着メールを受信している携帯を閉じて、机に投げる。
「……………つまんない」
(君を見ないだけでこんなにも退屈だなんて!)
100326
ようやく続きが書けました。
うん、久しぶりに書くと我が家の臨也は捻くれた淋しがり屋のようで。
まだ続きますよ。
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