[携帯モード] [URL送信]
ああ、これを恋と呼ばずして何と言うのか。2

★遊郭パロ2
1を読んでから閲覧してください。





「なあ、コレここでいいのか?」
「いいよ、あ、ソレはこっちね」
「ん」

臨也に身請けさせてやってから、数日経った。




「こんなもんか、な。他に欲しいものは?」
「いい、俺そんなに物欲ねえ」
「ん、じゃあご飯作ろうか」
「作れるのか」
「…食べる分には師匠はないと思うけど」

…。
あいまいな返答に俺が困った。
お前、普段何を食べてるんだよ。
つーか、食べてねえだろ、ガリガリだもんな。

「俺が作る」

立ち上がった際に上着代わりに羽織っていた着物がずり落ちる。
これは、邪魔か。
そう思ってトレーナー一枚の臨也の肩に掛けてやる。
赤い蝶が数匹舞う黒のシンプルな着物はよく似合っていた。

「え、シズちゃんが寒いでしょ?」
「いいから」
「…、ん」

大人しく羽織るのを見てから、キッチンに向かう。
作るにも材料次第だよなあ。
感嘆に作るか。今から凝ったの作るのは待つ時間が長いしな。
冷蔵庫に色々と入っていたので、卵と鶏肉を確認した。
こりゃ、オムライスだな。なんとなく。

「臨也」
「あ、なに?」

臨也、と呼びかけると顔を赤くする反応は可愛い。
着物を羽織り、帯で止めようか悩んでいるようだった。ま、下から服着てるからな。

「それなら、上からもう一枚着て赤のラインが入った黒の帯で緩く留めたらいい。服は脱げ、邪魔だろ」
「…ん」

と、綻ぶ顔はやはり。
毒されてる。
逆だったはずなのに、な。
知らない臨也を知る度に、欲が増えていく。
これは、蓋をしておこう。溢れたら危ないものだ。

「シズちゃん、これ?」
「ん、ソレ」
「着替えてくるね」
「脱ぐだけだろ、そこで着替えろよ」
「…恥ずかしい台詞を言うね」
「俺が見える所でなら、着替えていい」

先日までは俺も仕事で気持ちの篭ってない台詞を言っていたからな。
そんな類の言葉ならいくらでも、出る。
…今のは、ちょっと、独占欲の塊みたいだな。

「…じゃあ、ここで着替える」
「ん」

その間は臨也を見とく。…変態くさいな。決して違うが。
臨也は線が細い。俺なら、折ることも他愛ないだろう、多分。
頬杖をつきながらトレーナーをソファに投げている臨也を見る。
余計な肉はついてねえし、かと言ってアバラが浮くほどのガリガリではない。もやしだが。
あ。そういやアレ、サイズがでかかった気がする。引きずるな。

「着替えた」
「ん、それ裾が長いからあんまり動くな。持って行くから、ソファで待機な」
「わかった」

逆に尽くしてるような気がして笑える。
ま、新しい感覚だからいいよな。ここは遊郭とは違うしな。
炊き上がっていた米を二人分注ぎ、ケチャップライスにするために冷蔵庫からケチャップを取り出す。
鶏肉も炒めて米と混ぜる。ん、久しぶりに作るから味の保障が無い。

「シズちゃん、帯の留め方わかんない」
「あ?」
「これ、適当でいいかな」
「固結びはやめろよ」
「ん」

ま、いいか。
さて、動くなって言った矢先にこっち来るなよな。
裾を持ち上げると、足が見えるからな。それは視覚的に…、少し黙るか。

「こっちこい、臨也」
「ん?」
「裾持ってろよ」
「うん?」

臨也に皿を一つ持たせて、臨也ごと持ち上げる。
子供抱きのような形に臨也が一瞬呆ける。
あいてる手で自分の皿を持ちながらキッチンから出る。

「…、何でこんな軽がる…、いや、何で抱き上げるのさ…!」
「なんとなく」

この言葉に尽きる。
意味?そんなもの無い。したかったから、とでも言えば満足か。

「黙ってろよ、落ちるだろ」
「う」
「お前軽すぎ、もちっと太れよ」
「平均は、あるよ多分」
「ねえよ、高校生並にガリガリじゃねえか」

黙ってしまう臨也に笑う。
別にガリガリが嫌なわけじゃねえよ。
ま、好き嫌いとかねえだけマシだよな。




なんて。


(何て幸せな悩み!)



100315
バカップル。
でもまだくっついてない。
両想いなだけの清い関係。



[*前へ][次へ#]

3/11ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!