Act.9
「…………」
『…………』
「……着いたぞブス」
『……ありがとうございます』
チューベローズ
Act.9:オト
よーしよーし、落ち着け私
ブスなんて慣れっ子さ☆
だから落ちつこうね私
左手の拳収まれー
「たく、説明してやっても分かんねぇのかよ…」
『……すみません』
「本当に可哀想だよな…
ブスで馬鹿で方向音痴なんて」
収まれ、収まれ両手
そうだよ方向音痴の私が悪いんだよ
あれだけ千雨が説明したのに理解出来ない馬鹿な私の脳みそが悪いんだよ
「それじゃあ俺はもう行くな」
『ミチアンナイアリガトウゴザイマシター』
そして響先輩は直ぐ様その場を後にした。
私もお礼(?)を言うなり直ぐ音楽室の中に入り…
『あのドS野郎めー!!!!』
と思いっきり叫んだ。
叫んでからふと我に返り、響先輩に今の叫び声が聞かれていないか不安になったが、幸いに音楽室は防音壁だったため聞かれてはいなかった。
次にアイツ…レンに聞かれたかと不安に思ったが、私を呼び出したアイツはまだ此処に来ていなかった。
…………呼び出した張本人が来てないんかい
『はぁ…』
早く来ないかなぁ…
まだ寮がどこにあるのか、と言うか私の部屋は何号室なのかすら分からないのに…
あー…先生が帰る前までに聞かなきゃなぁ…
だけど…
『来ない』
え、ちょ私が来てからもう1時間たったよ?!
何してるんだろうアイツ…
いや、アイツのことだからナニをしているんだろうな…
…………(イラッ)
『もー!!一体何なのよ!
なんで言い出したやつが来ないのよ!!』
まさか忘れてるとか?
いや、まさかのまさかで響先輩が嘘付いてるとか?!
『はぁ…』
なんだか馬鹿馬鹿しくなってきちゃった…
『暇だなぁ…………ん?』
私の目に写ったもの…
それは音楽室には必ずと断言出来る確率で置いてあるアルモノ…
『――と言うか置いてなかったら授業出来ないしね…』
ピーン
『綺麗な音…』
きちんと調教されているのが分かる、真っ黒のピアノ…
鍵盤も埃一つ積もっていないし、キズも付いてない。
『弾いて良いか、な?』
♪〜♪♪〜
「ごめん、待っ――」
♪〜♪♪〜
あー、やっぱり音楽は良いなぁ…
自分の思いをこうやって表現出きるし、なにより楽しい!
♪〜♪♪〜
「…………」
『♪〜!』
♪〜♪♪…‥
『……終わりっと!
うん!楽しかった!!』
「お疲れさま」
『…………うわぁ!?
い、いつから居たの?!』
「何時からだったっけかな〜?
だけど雛がピアノ弾いている時だよ」
『言ってよ!!!!』
「いや、あまりにも気持ちよさそうに弾いてるからさ…それ自作?」
『え、あ…まぁ、そうだけ、ど…』
「ふーん」
一体なんなのよ…
顔もなんかニヤニヤしてるし…
あ!そう言えば私コイツに呼び出されたんだった!!
『ねぇ』「なぁ」
…………かぶった。
「なに?先に言って良いよ」
『心遣いありがとうございますー
だけど良いよ、アンタから言って』
「そう?
じゃあ単刀直入に言うね」
『うん…』
「雛…
オレのマスターになってくんない?」
Act.9:オト
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