[携帯モード] [URL送信]
Act.6




「…?
どうしたの雛ちゃん?」

『あ、いえ…』






言える…わけないよね。
女の子で遊んでいるようなやつだなんて…






ューベーズ
Act.6:裏の顔






「たくもう!レンったらどこ行ってたのよ!!」

「マスター探しだよ
だって俺だけじゃん、マスターいないの!」

「そうだけど…あ、そうだ!
雛ちゃん、この子はレンって言ってアタシの双子の弟なんだ!!」

『弟?』

「うん!」






そっか…、だから最初リンちゃんに会ったとき見たことがあるような気がしたんだ…。

確かによく見ればそっくりかも…






「で、この子は雛ちゃん!
なんと!ちー姉の友達なんだよ!!」

「まじで?!ちー姉友達作れたの!!?」

「コラ、レン
それどう言う意味かな?」

「だってちー姉性格悪……イヤナンデモナイデス」

「あはは、レンはちーちゃんに適わないね〜」

「カイ兄も適わないくせにー…」

『(……あれ?)』






なんか…普通?
みんなとも仲良いみたいだし、性格も明るくてちょっとヘタレな感じで、クラスに居る男子と変わらないかも…。






「それじゃあ改めてよろしくな!




…………雛」


『!!』






今の声…
今の雰囲気…






「ねぇー、雛って呼んで良い?」

『え…?べ、別に良いけど…』

「やった!」






き、気のせい…?
さっきの声、初めてレン君に会ったときに聞いた声とそっくりだったような気が…






「あと雛、もう一つお願いがあるんだけど…」

『なに?』

「ちょっとこっち来てくれない?」






――ゾクッ―






気のせいなんかじゃない。






『――…いいよ』






さっきのレン君の顔…
私が最初に会ったときと同じ顔をしていた。






「あれ?レンと雛何処行くの?」

「ちょっとね!行こう雛!!」

『うん…』






やっぱりコイツは…――






***






『―……な、何?』

「別にそんな警戒しなくて良いよ」






にやりと妖しく笑う。


なに?!こいつ二重人格なの!!?
さっきと全然話し方も声のトーンすら違う…






「本当はさっきぶり…だよね?」

『じゃ、じゃあやっぱり…!』






あの時の…――






「そうだよ」

『性格全然違う!』

「まぁね、これが素だよ
さっきのはいわゆる愛想ってやつ?」

『なんで…?
だって同じボーカロイドなんでしょ!?
仲間…なんでしょ?』

「まぁそうだね…表向きは」

『表向き…?』

「だってオレは別に仲間だと思ってないもん」

『……!!』






なんて冷たい目…


機械もこんな目が出来るんだ。
見ているだけで、


悲しくなる…‥






「だけど、まぁバラされたら色々と厄介なんだよね…
と言っても雛がなんやかんや言ってもみんなは信じないと思うけど」

『な、なんでよ!』

「だって当たり前じゃん
オレの方がみんなと付き合い長いんだし、付き合って間もない雛の話を信じる人の方が少ないと思うけど?」

『……っ!』

「だけどやっぱりちょっと疑うようになるじゃん?
そんな性格だって


だからさ…」

『!!』






知らず知らずに壁際まで追い詰められていた私は、レン君の腕によって壁とレン君の間に閉じ込められていた。






『ちょ、なにするの!』

「別に何もしないけど…してほしいの?」

『!!ち、違っ!』

「あはは、冗談だよ
だって雛はカイトが好きだもんね」

『な、なんで知って…!』

「一目みれば分かるよ
気付いてないのは本人とがくぽらへんじゃない?
あいつら鈍いし」

『…………』






ってことは他のみんなは気付いているってこと…?


うわー!恥ずかしい!!
良かった、本人にはバレてなくて…






「……一人で照れるのは別に構わないけどさ、オレ無視されんの嫌いなんだよね」

『え…?』






気がついたときにはもう遅かった。

目を開けていなければ良かった。
逃げていれば良かった。
頭で考え事なんてしないでアイツの話を聞いてれば良かった。


後悔ばかりが頭によぎる…


目の前に顔が、唇に感覚がある。






『!!な、なにす…!』

「口止め…
キスのことカイトに知られなかったら、オレの事も秘密にしといてね」






そう言って笑ったレン君の顔はいつもの作り笑顔だった。






「それじゃあそう言うことで」

『……っ!』






最低…




Act.6:裏の顔END



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!