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【オリジナル小説】螺旋状ノ恋【中世ヨーロッパ風ファンタジー】
前章
この世界で最大の大陸ヒュンベールには、中央に有る大河を挟むようにして二つの国が存在する。


西のエリス国、通称「黄」の国は、肥えた土地とそこに出来るさまざまな作物、言わば環境によって支えられる国。

一方東のメイル国、通称「紅」の国は、調度品やアクセサリー、家具等のものに活かされている巧みな技術、言わば町の手工業者を始めとする人々の産業によって支えられる国。


この二つの国は正反対ではあるが、至って友好的な関係を築いている。


それも、次代の「黄」の国王陛下の最有力候補である第一王子シオン殿下と、若干十六歳にして「紅」の頂点に君臨している王女のローザ陛下が幼馴染であり、今でも月に何度か国同士の交流を行っているからである。


今夜も交流会と銘打った晩餐会が「紅」で行われており、身分、役職問わず、少しでも自分の情報網の幅を広げようと、それぞれが思い思いの相手と杯を交わしている。


今宵の晩餐会には、「黄」と「紅」の人々だけではなく海を隔てた向こうに有る小さな孤島の、けれども他のどの国も敵わないであろう大国レウロ国、通称「青」の第二王子カイト殿下と、その秘書官のフィルも来ていたのだ。





思い返せばこの晩餐会こそが、悲劇の始まりであったのかも知れない。

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あきゅろす。
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