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《ルールってややこしいU》

前回の続きです。







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かくれんぼをしていたらリンが居なくなった。
…リンは鬼なのにどうして俺達が鬼捜しをしてるんだろ、と疑問が芽生える。

でも、ミクや黄チビ…もといレンはそんな疑問さえ持ってないんだよな、きっと。

さっきから必死に探し回っている。

「ミクオー!そっちには居そう!?」
「全っ然。ミクの方は?」
「こっちに居そうだったらアンタに訊かないわよ!」

…ごもっとも。

ミクの奴、怖いくらい必死だ。
俺も割かしら真面目に探してるけどね。

まあ、それ以上にレンが凄い形相してる。
その黄チビは公園を隈無く見渡した後、苦虫を噛んだような顔をした。

「公園に居ないのかも知んねー…」

…当たり前だろ。気付くの遅ぇー。

「ぇえ!?じゃ、じゃあ、リンちゃんは公園外に行っちゃったとか!?」

公園に居なかったらそうだろ。

二人が真剣すぎるから余計な口出しはしないけど。

「じゃ、探しに行こーか。ここに居てもなんだし。レン、」
「…んだよ」
「リンのデータ周波とか探知しろよ?お前が一番リンに近いんだから」
「えっ…」

何故か、せっかく良い提案をしたと思ったのにミクもレンも固まってしまった。

…なんだ、その反応は。

二人の反応が思わしくなくて、少し気分を害する。

「ミクオ…」

ミクが目を見開いたまま俺の裾を掴んだ。

「なに?」
「アンタ…そんな事出来んの?」
「はあ!?出来るだろ!仮にもアンドロイドだぞ!?」
「え、因みにアンタは誰を探知出来るのよ…?」
「普通にボカロ仲間なら全員だろ。まあ、他の奴らはミクのデータ周波みたくしっかり場所までは特定出来ねぇけ…ど…」

…ん?

「何お前ら…まさか、やった事ない…とか言わないよなー」
「探知なんかしたことねーよ」

ああ。
それで、んな反応しか寄越さないのか。

やっと納得がいく。

「どうやんのよ?」
「え、どうって…んんー」

よく考えたら今までそんな意識的にやった事がなかったので、やり方を訊かれて首を傾げてしまう。
考えれば考える程、全くやり方が判らない。

「どーやんだろねー☆」

ははッと爽やかに笑って見せたらいつの間にやら、ミクの手には鋭利なネギが握られていた。

ごくりと生唾を呑む。

「え…と…。そーだなー…、その人を思い描けばいいんじゃ…ないですかね?」
「レンくん!やってみて!」
「あ、う…うん」

レンは精神統一みたいに静かに目を閉じて黙り込んだ。
それで見付かるかどうかは定かでは無いが、見付かってくれ!と心の中で思う。

…でないと、この咽元にあるネギで自慢の声帯が傷物になりそうな予感。


「あ!」


カッとレンは瞼を上げるとその勢いのまま、俺とミクを見た。

「リン居たかも!」



◇◇◇



タタタと軽い足音を立てて走る黄チビの後をミクと追う。
こーゆー時は疲労を感じない俺達って便利だよなーなんて思ったりする。

…長時間走ったら熱でショートするけどな。

つか、リン本当に何処行ったんだ?
もう15分は走ってるぞ?

…と、川の土手を走っていた先頭のレンが何かを見つけたように顔色を変えて下まで降りて橋の下へ行った。

何かって、絶対リンだけど。

「リン!」
「リンちゃん!?」
「…ね、寝てる…」

リンは川岸の橋の下で何故か寝ていた。
それをレンが揺さぶる。

「リン!起きろ!リン!」
「ふ…ぁ、えッ…な!?レ、ン!やめ…!」

ガックンガックンとレンに肩を掴まれて振られてリンは起きたみたいだ。

まだ状況が把握できてないリンにミクが抱き付く。

「リンちゃん〜!大丈夫!?なんでこんなトコに!?」
「ミク姉…、え?なんで泣いてるの!?」
「だってぇ〜!ぅぁああー良かったあ!」
「??」

本気で泣き出してしまったミクを困惑するリンから引き剥がすのは俺の役目。
ミクは抵抗しないで、案外あっさり離れた。

「れ、レン…?何がどーなってるの…?」

リンが困り顔のままレンの半ズボンを縋るように掴むと、レンがはあー、と溜め息を吐いてしゃがんだ。

「リン、なんでこんなトコに居んの?」
「え?だって…かくれんぼの最中でしょ?」
「…はあ!?」

リンの言葉に耳を疑う。
ミクも驚いたらしく、目を見開いて泣くのを止めた。

「り、リン?」
「なに?クオ兄」
「リンは鬼…だよね?」
「うん!」
「隠れてたの?」
「うん!」

嗚呼…。
この子はかくれんぼを理解していなかったんだ。

ここまで来てやっとリンが居なかった理由が判る。
それと同時にドッと疲れがでた。











リン曰わく、かくれんぼは

鬼になった人…つまりリンが隠れて、残りの人達が探す

というゲームだったらしい。




そうリンが説明し終わると
「んな、一人を全員で探すなんてイジメみたいな遊びあるか!」
と、黄チビが怒り出した。


…確かに、その原理で鬼ごっこなんかやったら完全にイジメの構図だな。





まぁ、最終的にはリンが泣いちゃってレンがそれを宥めて終わったんだけど…。












今度遊ぶ時はルール確認からだな、と思った。




           -END-


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この間の続きでした(`∇´ゞ


今回のリンちゃんは天然通り越して阿呆な子←
思ったよりレンリンにならなかったなww



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あきゅろす。
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