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《紅の庭W》

※注意
続きものです。
詳しい注意事項は一番初めの回にあります。
これより進む方はそれらを承諾済みと見做しますので、あしからず。






  ***《紅の庭W》***

口当たりの良い酒だから、いつもより飲み過ぎたかも知れないな。

まだ月が昇りきっていないというのに、ふらふらと危なっかしく身体を揺らしているリンを見てバレないように溜め息を吐く。

花魁の常連客が俺に会わせたいとわざわざ連れて来たのが、コイツか。

確かに顔は驚く程似ていたけれど、特には惹かれない。

「リンー?ちょっと飲み過ぎたっぽいね。大丈夫?」

…まあ、いつもみたいな客よりは面白そうだけど。
なんたって、流行り茶屋の息子、と聞かされていたのに実際は女だったのだから。

普段なら客は酔い潰してなんぼだ!と振る舞っているが、流石に同い年ぐらいの少女は潰す気にならない。

「…へ、ぃき…ら」

………もう呂律回ってねぇし。

今度はわざと聞こえるぐらい大きな溜め息を吐いてまだリンが握り締めていた杯を取り上げる。

「ぁっ…」
「はい、もうお終い」
「…わた、しはぁ…客だぞ?」
「お客様の体調管理も僕の仕事だからね」

ニッコリと笑顔を作って其れらしい事を言えば、リンはまだ不服そうにしながらも手を引っ込めた。

「お前…」
「何?リン」

問い返しながら半分瞼の閉じたリンの頭を撫でてみる。
すると、もう大分緩んでしたのか、リンの髪を纏めていた紐が解けた。
パサリと落ちた髪はその細い肩にかかるぐらいで。

なるほど、この歳の女にしては短いな。
そう言おうかと思った、けどやっぱり止める。
俺も男にしては髪長いし、人の事言えねーや。

「ぁー…わたしが…男…だと、ね…お父さ…が」
「ん?」

喋る事が纏まっていないようで、リンは少し難しい顔をする。

しかし、そのまま睡魔が彼女を襲ったらしく。
ぐらりと体勢を崩してリンは座敷に寝転んでしまった。

「あ、リン!?」
「…ぅー」
「…はあ、仕方ないな」

一番動きづらい上等の羽織りを脱ぎ捨てて、リンを抱き上げる。

少し歩いて奥の襖を足で開ければ布団の敷いてある部屋があるので、ぐったりするリンをそこに寝かせた。


「おやすみ」


頭をひと撫でしてその部屋を出ようと後ろを向いた時、



「…レン」



微かにそう聴こえた気がした。

驚いて振り返るが、少女は布団にただ横たわって寝息を立てている。

…今のが聞き間違いでなければ初めて名前呼ばれた、な。



普段の馴れ馴れしい客に呼ばれた時とは違う感覚に何故か嬉しくなる。



タタッと駆け足でリンの傍に戻ってその額に口付けてみた。






           -続く-



*********

レンのターン!
うーむ、話が進展しないナ…;

因みにレンくん、この日の客はリンだけです!ミクオどんだけ金出したんだ/(^O^)\(シラネーヨ




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あきゅろす。
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