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48. silent....zephyr..












































「ははッ―…これで俺も…晴れてソルジャーに…!」






































































「くたばれ、雑魚が」












ザシュンッ―――!!!!!!








降りしきる雨の中。
弧を描き一つの首が飛んだ。











「スバル…これがお前の最初で最後の“我が儘”なんだな…」










スバルを撃ち抜いた神羅兵を仕留めた。
綺麗なアイツを穢し射止めた汚らしい面など見る価値もない、生かす価値もない。


セフィロスは横たわるふたりの元に近寄り小さく呟いた。




峠の頂点を目指して走っている人物がザックスとクラウドだということがわかった。
確認するや否や、スバルセフィロスに一切手を出さないでほしいと頼み込んだ。
だが、流石にあの数の神羅軍を相手にお前一人では無理だと引き止めた。
さすがのセフィロスも何百、いや、何千といる軍勢の中に戦友を放り込み自分は高見の見物でもしていようとするほど冷酷ではない。
だがスバルは笑って




“これは俺達の越えなきゃならない試練だ、手を出すな”



セフィロスの力を借りず、寧ろ止めることさえ押し切ってのけた。

アイツは、人生で“初めて”の我が儘を言ったのだ。






セフィロスはスバルの意見を尊重した。

これがどんな結果だったとしても、
安らかなふたりの顔を見れば何も言葉が見つからない。





跪きゆっくりと二人の頭を撫でた。
安らかな顔を確かめるように、生きていたことを忘れぬように。


一人の戦友として、一人の理解者として…。
ふたりを良く知る生き残りの一人として。









「疲れたろう…よく頑張ったな」




彼はふたりからしたら兄のような存在であった。
それは同様にセフィロスからすればふたりは弟のような存在。
情が移っていないはずがない。

まさか自分にこんな日が来るなんてな。
己自信が一番驚いている。
俺の人生にこんな大切な奴等が現れるとは思っても居なかった。
他の人間なんて敵、息をしているだけの“モノ”としか思ったことが無かった。
それを変えてくれたのは紛れも無い戦友達。
人というものの暖かさを教えてくれた。
人を想い、想われることを教えてくれた。
そんなことは邪魔で必要だとは考えたこともなかった。
だが、戦友達はそんな自分を変えてくれた。
挙句、このふたりを連れてきてくれた。
大切なモノ、それの大きさを教えてくれたんだ…。





今頃になって感謝の言葉が見つかるはな…





亡骸から手を離し、せめてこの手で葬ってやろうとマテリアを発動させた。
大地に晒され、獣に喰われ血肉に変えられてしまうなんて御免だ。
マテリアが共鳴し身体を炎が取り巻く。

この炎は憎しみや恨みなんかではない。
もう、あのニブルのようなことはもう起こさないさ。











「また会おう…」











ふたりに向けて勢いよくファイガが放たれた。

メラメラと燃える衣服。
焦げた匂いが辺りを立ち込める。



これでいいんだ、これで…











































バシュン………
















キュイイィィィィイィィイィィイ―――ッ!!!!!!





























「お前は……!!」






――――リヴァイアサンだ。


間違える筈も無い。
リヴァイアサンがふたりを護ろうと炎を跡形も無く消し去ったのだ。




何故だ、主は死んだ筈だ。
だったら何故コイツは召還された?
スバルのMPは完全に空になった筈…



視線をスバルの胸元に移す。
胸元には魔晄弾によって開けられたら痛々しい風穴。それと、
何か蒼いモノが蠢いていた。






「クッ、クックッ……そうか、そういうことか!」








セフィロスは手を伸ばし、怒り狂うリヴァイアサンを宥める。
ソルジャー1st、そして英雄と謳われた彼にとって召喚獣なんてお手の物だ。
荒れ狂う水竜。
どうやら彼もセフィロスに纏わり付いていた主の微かな香りに気付き動きを止めた。





「お前は主が好きなのだな…。大丈夫だ、変なことはせん。だがこのままでは乗っ取られてしまうからな…悪いがお前の力を貸して欲しい」




言葉を聞くと共にリヴァイアサンはいかにも乗れと言わんばかりに体制を低く保ち宙を見た。
合意、セフィロスは迷うことなくザックスをリヴァイアサンの背に乗せスバルを自らの腕に抱えると片翼の翼を蒼空へ飛び上がった。





















…翼が疼く。







目指しす場所は今、変わった。










場所は………忘らるる都――














「まったく…懲りない奴等だ」







セフィロスは口の端を上げ笑った。








“生きている”









微かではあるが自らの体内に息づくジェノバ細胞がラヴォスと共鳴し合っている。
ザックスのジェノバ細胞も相当しぶといらしいな。
主を瀕死の状態にしているにも拘らず生きようとしている。

有り得ない非現実的な事実に神の戯れ言など通じない奴等が居るとは。
どこまでも楽しませてくれる偽弟達に歓喜しながらセフィロスは一層速度を速めた。




















元ソルジャー、ザックス。







陰陽師の末裔、スバル。










ふたりは、まだ




            ここにいる………。











end


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あきゅろす。
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