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47.crisiss (終)










聞こえてないわけじゃないんだ



眠っているわけじゃないんだ



ザックスが戦ってる声



スバルが叫んでる声



話しかけてくれた声



みんなが戦ってる声



全部全部



聞こえてたんだ……



























コンドルフォートを抜けてミッドガルエリアにさしかかる頃。
地底でなにやら怪しい動きが見受けられたら。
大勢の兵士、神羅軍。
ソルジャーを率いてミッドガルから峠に向けて進軍してきている。

2人は峠に差し掛かる手前、宙で停止した。




『なんだこれは…?』

「…………」




セフィロスは目を凝らす。

神羅とは違う何か。
何かが峠を目指し走っているみたいだ。

人・・・、確かにあれは人だ。




「スバル…不味いことになりそうだ」

『……え?』

「急ぐぞ」

『え、あ、わっ!;』




セフィロスはスバルを抱えると直滑降の体制に入った。

目指すはあの峠の頂上。





















「クラウド、後少しだ!この峠を越えればミッドガルが見える!」

「…あ……ぅ…」




背負っていたクラウドを抱き直す。
トラックではやはり峠の麓までが限界で名残惜しくも老父と別れを告げたのだった。
それからはというものの越える手段は己の脚しかなく、ザックスはクラウドを背負うと険しい道を走り出したのであった。




「何でも屋、楽しみだな!またお前と一緒に旅できる!きっと毎日が楽しいぜ。
そん時はまたサイドカー付きのバイクにすっか?おっちゃんみたいなトラックでも悪くはないよな〜…運転?ははっ大丈夫大丈夫。こう見えて俺、免許持ってんだぜ?

心配する事なんて何もないんだ、何も」




頂上に到達。
そこには目の前には遙か遠くまで広がるミッドガル大地。
そして、

数え切れない程の無機質な銃口がこちらを捕らえていた。









「標的を確認!


全体撃てぇ!!!!!!」

「〜ッ!」




一斉に降り注がれる銃弾。
ザックスはバスターソードを縦にクラウドを庇い岩陰に隠れた。






――――やられた。





先を読んでヤツらは待ちかまえていたんだ。

考える間も与えず鳴り続ける銃声。
ここにいればクラウド諸共あの世逝きだ。










後少し、

後少しだったのに……!!!!









ザックスはバスターソードを構え額に宛てた。



アンジールの想い、みんなの想い。
みんなみんな、感じるから……
大丈夫、絶対大丈夫だ。

スバル……






「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

「馬鹿め血迷ったか!構わん!撃ち殺せ!」




射撃が一層増す。
相手は一般兵。
大丈夫、勝ち目はある。
立ち向かってくる敵を、弾を避けながら斬り捨てていく。しかしいっこうに減る様子もない。
終わるまで、終わりがくるまで闘うしかない。
ザックスはひっきりなしにバスターソードを振るった。




「ふむ、やはりソルジャー・クラス1stを名乗っただけの事はある…

ならばそれに相応しい相手が必要だろう」




白い隊長服を纏った男性が隊帽の鍔を掴み軽く俯く。
はためく上着の背後、一体どこに隠れていたのかソルジャー達が姿を現した。
数はおおよそ20ってところだ。

一般兵達は身を引き、岩壁から射撃を繰り返す。
ザックスは攻撃を交わしながらも静かに息を呑んだ。




「…イカレてやがる………ッ、一体俺達が何をしたっていうんだよ!!!!」




交わしながら応戦なんて至難の業だ。

しかし逃げ場などもうどこにもない。
いつの間にか周囲を囲まれた。

―――やるしかなかった。




「とんだサービスだよなー…」

「プレジデント神羅の名の本に、元ソルジャーザックスを抹殺せよ!!!!!」

「Σちょ、マジかよ!!?;」




ソルジャーが一斉に飛びかかってきた。
相手はクラス2nd。
ザックスは弾を避けながら応戦してゆく。
首、脇腹、腕、太もも、足首。
宙へ紅い飛沫が舞い散る。
容赦などしていられない。ザックスの身体を銃弾が掠め振り抜かれた剣が肌を抉る。
1stが空席の今、選りすぐった実力者なのだろう。




「ぐっ…!」




肩に激しい痛みが走る。

……弾が貫通した。

4年以上ビーカーの中に居たのだ、身体は限界の声を上げている。
剣を受け止める中、次は脚を弾が貫通。
応戦し続ける中どんどんと弾が身体に当たる…
血が止まらない、足下には血溜まりが出来始めた。



もう、 ダメなのか…?

もう、 終わりなのか…?



だんだんと呼吸も荒くなる。




神様は残酷だ。
小さな願い事さえ叶えてはくれないのか?




人殺しに与えられた、

      罰なのかもしれないな……




薄れゆく意識。
もうぼやけて上手く見えない視界が意地らしい。



でも、それでもいい。

大切な友達を護ることが出来たのなら……










――スバル……




――約束守れなくてゴメンな……




――できれば最期にもう一度












――……………会いたかった……



































―――ふざけるな!!!!!!












突如耳のピアスが輝き蒼い光がザックスを包み込んだ。




暖かい、目蓋が勝手に閉じてしまいそうだ…。





周りに取り巻いていた光が水に変わる。
不思議なことに銃弾を弾き返し刃さえ弾き返した。




「クソッ!なんなんだこれは!?」




水が邪魔をして攻撃が一切効かない。
兵士達は苛立ちを隠せない。




「ええい、小賢しい!サンダガで感電死させてしまえ!」




大気が震え放電し生き残ったソルジャーがサンダガを唱えた。
水と電気、此方には勝ち目はない。
ザックスは歯を食いしばった。


















『…俺の御守りを見くびらないでほしいな』




一斉に放たれるサンダガ。
しかし当たる直前に水達は龍のように形を変え雷を弾き返した。
まさにそれは、リヴァイアサンそのものであった。






白い少年が舞い降り彼を殺そうと取り巻く神羅兵を村正が切り裂く。
リヴァイアサンはザックスを再び取り巻き護る体制に入った。




『アンタ、何倒れてるんだよ?俺との約束、破る気?』






そこには見慣れた彼が立っていた。







「スバル、なのか…?」

『会わない間に俺の顔、忘れちゃった?』

「んなわけ、ねぇ…しっ!」

『なら結構(笑)』




スバルはクスリと小さく微笑むと神羅兵共に冷酷な視線を浴びせる。
リヴァイアサンの透けた身体から見えた彼の体はもう弾で穴が空きすぎた。

……保つのも時間の問題だ。




『我が友を殺めようとした罪、…死して償え』




右手を天へ振り翳すと風達が足元から吹き上がる。


“究極召還”――


スバルは蒼空を見上げ目を細め手を前へ振り抜いた。




『戦友よ、我に力を貸してくれ』




空間を切り裂きフェニックスとケイツァクコアトルが蒼空に井出たち蒼空を舞う。
2羽はスバルの元に近寄り頭を撫でて貰うと満足したように微笑みフェニックスは豪炎を、ケイツァクコアトルは爆雷を吐き出し飛び立った。
炎と雷が幾重にも絡み合い周りを焼き尽くす。




「スバル…」

『アーサー、来てくれてありがとう…』

「私達はお前と共にある」

「私達は友達だもの…」




シヴァは髪を揺らしスバルの肩に手を置き微笑む。
アーサーは12人の仲間を引き連れ光の中より勇み出でた。
皆胸の前に武器を構え挨拶を交わすと四方の標的へと散る。シヴァも華麗に身を翻し踊るように氷を撒き散らす。
全体の指揮を担うのはアーサーだ、彼は勇敢なる聖騎士であり頼りになる戦友。
スバルは彼に支えられMPを絶えず注ぎ続ける。みんなが自由に動けるよう。






まだだ、まだ俺は倒れられない…!






精神を集中させ力を振り絞る。
以前より力が増幅しているのは恐らく体内にいる“ヤツ”のお陰だ。

いいのか、悪いのか…




「スバル…終わりを告げよう」

『…アーサー、…すまない』

「何を言っている?私達が一斉に戦えるのはお前の力のお陰なんだ、これは先代にも出来なかった力だ。まして、主従関係を臨まぬお前に私達は感謝している。自由に戦えるの喜びを教えてくれたのはお前なんだ…

さあ、…終幕だ」




召還獸達は己の出せる全ての力を振り絞る。
炎、雷、氷の偉大なる自然の織り成す力。
そしてアーサー率いるナイツオブグラウンドは数え切れない程の神羅兵を鋭い刃にて斬り捨て薙ぎ払い、アーサーのエクスカリバーが光を放ち大群へトドメを刺した。












『はっ…は、ぁ』








神羅兵達は全滅した。
勝ったんだ…あの大群に。



スバルはまるで人形の様に力尽き地へ崩れ落ちた。




もう、……動けない…………。

MPは底をついた。










まだだ、


ザックスを、



ザックスを助けなきゃ…!!!





MPが切れ彼を取り巻くリヴァイアサンを維持する力が尽き、後方から血溜まりの中に横たわるザックスが現れた。


スバルは動かぬ四肢に鞭を打ち、動かぬ身体を引きずり彼の元へ身を寄せた。
意識が朦朧としているザックスの頬を震える手で撫で生が途絶えていないか確かめる。





ねぇ、 まだ生きてるよね?

まだ、 死んでないよね?








「…スバル…、いるのか?」

『〜…ッ!!!!!ザックス!!!!待ってろ、今助けるッ!!!』

「ははっ……、なんて顔してんだよ…笑ってくれよ、いつも…みたいに、さ」

『…っ、もう喋るなッ!!!』

「なぁ…歌ってくれよ…あの歌、を…」

『ザックス…ッ!!』

「好き、…なんだよ」






ザックスの大きな指が涙を拭う。
MPはもう無い。

力を振り絞れば空間移動くらいはできるはず!
スバルはザックスを抱き寄せ力を込める。






約束しただろう?








一緒に空を、海を見るんだって。


一緒にエアリスに謝りに行くんだって。


一緒に旅をしようって。


いっぱいいっぱいしたこと無いことをしようって。


一緒に自由の翼を得て何処までも羽ばたこうって。










一緒に、生きていこうって……






























ドンッ―――――…!!!









「くた…れバケ、モ…ノめ!!!」








鈍い音が破裂した。
背後から、確かに。

胸の辺りが熱い。
炎で焼かれたような熱さと、何かに押しつぶされたような圧迫感。
胸からは勢い良く紅い飛沫が飛び散りそれは留まる事を知らない。

これは、何…?



魔晄弾が心臓を貫いた。 
背後から、一撃。

…迂闊だった。

そうか、これが俺に与えられた罰。
たくさんの人を殺した罰なんだ…


ザックスの身体にスバルの血が飛び散る。
スバルは痛みなど忘れ、ザックスの身体に異変はないか確認した。自分よりも先に。




そうか、

まだ生きていた神羅兵がいたのか…


損傷は見当たらない。
どうやら弾は彼には当たってなかったようだ。

良かった…

スバルは薄れ行く意識の中ただゴメンねと、
溢れる涙を堪え微笑みザックスの上に重なるよう崩れた。









互いに冷たくなっていく身体。
いつしか蒼空からは雨が降り出し、ふたりを悲しむかのように天は涙を流した。





























「ザッ、クス……スバル…ぅ…?」




まだ覚束無い身体。
よろよろとよろめきながらクラウドはふたりの射る場所へ歩み寄り膝ま付いた。




あれ?



ふたりともどうしたの?



ねぇ、なんで眠ってるの?



なんで動かないの?



こんな所で寝たら風邪引いちゃうよ?







ふたりを揺すり起こそうとしても全く反応はない。




ねぇ、早く雨宿りしようよ?



ミッドガルはすぐそこだよ?



ねぇザックス、何でも屋一緒にやるって言ってたよな?



ねぇスバル、いつか一緒に蒼空を見ようって言ったよな?



ねぇ、ふたりとも早く起きてよ



ねぇ、早く一緒にミッドガルに行こうよ



ねぇ、笑ってよ



ねぇ、ねぇ



………返事、してよ

















「弱い自分に絶望したか?非力な自分に失望したか?」















「強くなれ、クラウド。
お前はコイツ等に生かされ、護られた。これからを託されたんだ」




セフィロスは翼を揺らしながらふたりの血に濡れたバスターソードをクラウドに差し出す。
夢と誇りの証であるそれを受け取れと。
この先はお前がやらなければならないのだという思いを含めて。




「クラウド、お前はコイツ等の生きた証だ……

ふたりの誇りを継げ…夢を貰え

ここからはお前の物語だ…」

「俺の…、物語…」




クラウドはセフィロスからバスターソードを受け取りよろめきながら立ち上がった。
あまりのショックの大きさに涙が止まらない。
止めるやりか方がわからない。

あんなに輝いていて大切だった人達が自分の目の前で血に染まってて、冷たくなっているなんて考えたくない。
もうあの笑顔も笑い声も無くなってしまったなんて考えたくも無い!!
動かないなんて信じたくない!!!
ふたりは俺を置いて逝くなんてことはしない!!!!



ねぇ、どこにいるの?






早く迎えに着てよ…



ザックス…、…スバル………






クラウドは心が抜けたかのように立ちすくむも何かを悟ったかのように頷くとバスターソードを背負いミッドガルヘの道を歩み出した。

剣を背負うには余りにも幼いその小さな背中で。









セフィロスと親友達を背にして――……


























Scapegoat......end

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